Dr.えんどこの「皮膚とココロにやさしい話」
医療・健康・介護のコラム
「ウオノメ」…正しくはニワトリの目だった!
こんにちは。皮膚科医のえんどこです。手足の爪も剥がれ終わり、ようやく自分の手足口病騒ぎは終了しました。なんだかんだで、全てが完結するまで3か月半ほど要しました。長かった。前回は、手足口病や 掌蹠膿疱 症の病名が「そのまんまじゃないか!」ということや、単純性疱疹や帯状疱疹は、名は体を表すではありませんが、病名がそのまま発疹の様子を表しているという話をしました。
今回は予告通り、「これは見た目が似ているから、そう呼ばれるようになっただけでは?」というような皮膚疾患、症状名を紹介したいと思います。
ウオノメの正式名称は、まさかの「鶏眼」
さて、みなさんはどんな皮膚疾患を思い浮かべたでしょうか? 私の頭の中に真っ先に浮かんだのはウオノメでした。何となく想像がついた方もいらっしゃるかもしれませんね。ウオノメは、その見た目(臨床像)が魚の目に似ているところから、そう呼ばれるようになったということですが、このウオノメ、非常にやっかいなことに、医学用語で正しくは「 鶏眼 」と言います。世間一般では「魚の目に似ている=ウオノメ」でまかり通っているのに、正式名称がよもやのニワトリの目とは……。なんか面倒ですよね。ややこしや(笑)。
リンゴ病=闘魂ビンタ?
もう一つ挙げてみます。伝染性紅斑というウイルス感染症をご存じでしょうか? これもウオノメと同様、その見た目から「リンゴ病」という俗称で一般的に呼ばれています。左右のほっぺにリンゴのような赤い発疹がみられることから、リンゴ病というわけです。しかし、この赤い発疹にも立派な症状名がついています。ウソかホントか、「平手打ち様紅斑」といいます(ホントです)。要するに、ビンタされた後に生じた赤みのような発疹ということを意味します。猪木さんに打ち抜かれた若者のほっぺも、リンゴ病のように真っ赤になっているのでしょうか。これはこれで興味深いですね(笑)。
足にできる間違いやすい発疹の代表として、ウオノメ、イボ、タコがあります。典型的な発疹であれば、皮膚科医は見間違うことはまずありませんが、時に「どっちだろう?」と悩んでしまうような発疹に出会うこともあります。イボは、もともと「いひぼ」と呼ばれていて、それが「イボ」になったと言われています。いひぼとは飯粒のことですので、「足にできた飯粒のようなもの」と 喩 えていたとすればわかりやすいですよね。イボは医学用語では「 疣贅 」といいます。ウオノメのような混乱は起きませんね(笑)。
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