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在宅訪問管理栄養士しおじゅんのゆるっと楽しむ健康食生活

コラム

管理栄養士が意識する「塩分の取り方」

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 先日、知人に「管理栄養士って、やっぱり毎食ごとに栄養のことを気にしているの?」と聞かれました。毎回きっちりと栄養計算して食べているわけではありませんが、「気にしない」と言ったら (うそ) になります。ではどんなことに注意しているのか、私が「食生活で気を付けていること」を少しご紹介します。

おでんは「塩分祭り」

 先日、管理栄養士の友人Mさんを我が家に招待して、一緒に夕食を取りました。私は、朝から「おでん」と「冷えたビール」を準備して待っていました。ビールで乾杯したあと、おでんをつまみに会話が弾みます。Mさんは「おでんっておいしいけど、塩分祭りだよね」と冗談まじりにつぶやきました。確かに、練り製品には塩分が含まれています。しかも、「おでんのつゆ」がとてもおいしいので、つい飲みすぎてしまいます。この日、私が食べたおでんの塩分量を計算してみたら、なんと5.8グラムにもなりました。これはまずいです。ほぼ1日分の塩分目標量を1食で取ってしまいました。友人には、あらかじめメニューは「おでん」であることを伝えていたので、前後の食事でなるべく塩分を取らないように工夫してきたそうです。さすがです。

管理栄養士が意識する「塩分の取り方」

 外食では、みそ汁や漬物を残す、野菜は煮物よりも、 () でた野菜にマヨネーズをつけるなど、「減塩」のためには小さな積み重ねが大切です。日常生活の中で、「一日の塩分量」を意識しながら食事をするのは、管理栄養士の職業病と言えるかもしれません。

 厚生労働省が5年ごとに策定している「日本人の食事摂取基準」の、来年発表される2020年版では、一日に摂取する塩分の目標量が、男女ともに2015年版よりさらに0.5グラム引き下げられるとされています。日本人にとって、「減塩」は国を挙げて取り組むべき食の課題と言えるでしょう。

 多くの管理栄養士は薄味を意識しているため、結婚すると「料理の味が薄い」とパートナーからクレームが入ることがよくあります。我が家でも、新婚当初は「煮物の味がしない」と夫がぼやいていましたが、家族の健康のために無視していました。昆布の 佃煮(つくだに) などの「ごはんのお供」が食卓に上がることもめったにありません。しばらくすると、夫は薄味に慣れてしまい、外食の味つけが濃く感じるようになっていきました。

 外食チェーン店もコンビニ弁当ももっともっと薄味にしていかなければ、「日本人の塩分目標量」を達成することは困難だと思います。「食」に関わる企業は「売れるから」と濃い味にこだわるのではなく、人々を健康にすることを一番の目標にしていただきたいものです。

和食にこだわらず、いろいろな料理の引き出しをもつ

 私たち管理栄養士が病院や学校給食などの献立を考えるとき、考慮すべきことがたくさんあります。栄養のバランスがよいことは大前提ですが、旬の食材を使いながら、季節ごとの食文化を大切にし、食材にかかる費用との兼ね合いの中で、より安く、おいしく、栄養が詰まった食事を食べてもらうためにはどうしたらいいか、悩みながら献立を立てています。

 例えば、毎食、肉料理が続かないように、まず肉→魚→卵→豆と「主菜」となる食材を決めて、順番に献立を考えることもあります。具体的には、鶏の空揚げ→煮魚→オムレツ→ 麻婆(マーボー) 豆腐といった具合です。主菜を決めたら、野菜中心の副菜や汁物を考えます。例えば、空揚げが主菜なら、「サラダには油を極力使わないようにしよう」とか、主菜が「味噌炒め」であれば「味噌汁」ではなく、「野菜スープにしよう」というように、献立全体の栄養と味のバランスも考えていきます。

 一般的に「和食イコール健康的」というイメージが強いですが、「和食」にこだわっていては献立が単調になってくるうえに、塩分量も増えてしまいます。洋食や中華の味付けを上手に組み合わせることで、「塩分の過剰摂取」と「献立のマンネリ化」を防ぐことができます。

管理栄養士だけで居酒屋に行くと…

 私には管理栄養士の友人が多いのですが、管理栄養士だけで居酒屋へ行くと、メニューの選び方が似たような傾向になります。サラダや枝豆、冷やしトマトなどの野菜は最初に必ず注文します。さらにお刺し身の盛り合わせなど油が少ないメニューが好まれます。揚げ物を注文することもありますが、「空揚げとフライと天ぷら」といった組み合わせはありません。

 飲み会が終盤になり、店員からラストオーダーを告げられると、誰かが「グレープフルーツサワーにしとこう」などと言い出します。ナトリウム(塩分)の尿中への 排泄(はいせつ) を促すカリウムを、フルーツから摂取するのが狙いです。さらに別の誰かが「カリウム補給なら、アボカドのサラダも追加注文しよう」と、いちいち栄養素とメニューをつなげて考えてしまいます。一般の方から見ると、ちょっと変わったメンバーかもしれませんね(笑)。(在宅訪問管理栄養士 塩野崎淳子)

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塩野崎顔2_100

塩野崎淳子(しおのざき・じゅんこ)

 「訪問栄養サポートセンター仙台(むらた日帰り外科手術WOCクリニック内)」在宅訪問管理栄養士

 1978年、大阪府生まれ。2001年、女子栄養大学栄養学部卒。栄養士・管理栄養士・介護支援専門員。長期療養型病院勤務を経て、2010年、訪問看護ステーションの介護支援専門員(ケアマネジャー)として在宅療養者の支援を行う。現在は在宅訪問管理栄養士として活動。

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