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コラム

[歌手 アグネスチャンさん](下)手術室から戻ってきたとき、「ああ、私のおっぱい残ったんだ」

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 アグネスさんは、日本対がん協会の「ほほえみ大使」としても活躍しています。ご自身の乳がん体験に基づき、がん検診率の向上などを目指して、積極的な啓発活動などに取り組んでいます。すでに、治療から12年が過ぎ、元気いっぱいの毎日を送っているので、そのマジメな性格からも、さぞがし健康に気をつけた生活を送っているのかと思いきや・・・。(聞き手・染谷一、撮影・武田裕介)

10年過ぎても再発がゼロになるわけではないから

[歌手 アグネスチャンさん](下)乳がんの手術室から戻ってきて、「ああ、私のおっぱい残ったんだ」

――12年前、乳がん手術を受けたときの話を聞かせてください。

 見つかった時はステージ1の小さなしこりと粘液がんでした。

――粘液を産生する、ちょっと特殊なタイプですよね。ステージ1なら、乳房温存手術だったわけですか。

 結果的には温存手術になりました。ただ、香港で医師をやっている姉が、「全摘しなさい」と強く主張したんです。全摘した方が再発率は下がると考えていたんですね。実際は、全摘したからといって、再発率が大きく下がるわけではないのですけど。

 一方、主治医の先生は、「ステージ1なので温存でいい」と言う。姉と先生でかなりの議論になって、最終的には「アグネス、自分で決めなさい」となった。

 でも、自分ではよくわからないですよね。だから、「手術した時に、リンパ転移があったら全摘して、なかったら温存してください」とお願いしました。

――常識的な選択ですね。

 手術中に、センチネルリンパ節(わきの下のリンパ節で、乳がんが最初に転移しやすい)を検査したら、がん細胞は見つからなかった。だから、再建術もせず、今でもおっぱいは残っているんです。とはいえ、粘液がんの手術は、組織をかなり大きく取ってしまいます。そこで、先生は、背中の筋肉を引っ張っておっぱいを作ってくれたんです。

――手術室から戻ってきたら「あ、胸がある」って感じ?

 手術後のもうろうとした状態で、「転移していなかったよ。手術は成功したよ」という家族の声と一緒に、大声で「残っちゃったわよ」と残念そうな姉の声が聞こえました。誤解したままでしたね(笑)。それで、「ああ、私のおっぱい、残ったんだな」と思ったぐらいです。

つらかったホルモン治療の副作用

――早期乳がんは治療成績もいいです。

 手術は成功したんですが、2か月の放射線、それに5年間、ホルモン治療が続いたのできつかったですね。特にホルモン治療は副作用がつらい。治療が終わった後も、一時的にホルモンバランスが崩れて体調が不安定になってしまいました。すべての治療が終わった後は、本当に体も心もラクになりました。

 でも、10年過ぎても、再発率がゼロになるわけではないですから、先生からは、今でも「太らないように」とか「体調を崩さないように」など注意を受けます。ストレスもためないように気をつけないと。

――まだ逃げ切ったわけではない、と?

 そう。10年過ぎてから再発して大変な思いをしたり、亡くなったりした友達もいます。スーちゃん(元キャンディーズ、女優の田中好子さん)も、最初の乳がんから20年近く後の再発で亡くなりました。オリビア・ニュートン・ジョンさん(英国の人気歌手)だって、20年以上過ぎても再発していますから。

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