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コラム

[歌手 アグネスチャンさん](上)今は「女性活躍の時代」「子育て支援」… 「アグネス論争」はムダじゃなかったですね

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 歌手、国連児童基金(ユニセフ)大使、エッセイスト、教育者など、多彩な活動を続けてきたアグネスチャンさん。3人の男の子を育てながら、芸能界の枠組みを飛び越えて、アカデミズムや国際的な平和活動など、 (はち)(めん)(ろっ)() の活躍を続けてきました。今回は、60歳でスタートさせた独自の「終活」、乳がん治療時のエピソード、さらに80年代に子連れ出勤の是非をきっかけに日本中を巻き込んだ「アグネス論争」についてまで、幅広く聞きました(聞き手・染谷一、撮影・武田裕介)。

仕事や子育てを終えた後の「ごほうびの時間」

――2015年に著書「ひなげしの終活」(パブラボ)を出版しました。「人生100年時代」に、60歳で終活開始は早すぎる気がしますが。

[歌手 アグネスチャンさん](上)今は「女性活躍の時代」「子育て支援」… 「アグネス論争」はムダじゃなかったですね

 2007年に乳がんになったことがきっかけですね。早期だったこともあり、治療はうまくいったのですが、先生から「再発の可能性もゼロではない。万が一、再発したら、命を延ばすことを優先するのか、それとも生活の質を重視して厳しい治療はしないのか、今からしっかり考えておいてください」と言われたんです。正直な先生ですよね。

 それなら、死ぬことを恐れるだけではなく、いつ命が終わっても後悔しないような気持ちで生きていたほうがいいなと思って。それに、残された家族が、私の人生を振り返りながら、満足感を持って送り出してくれるようにしたいとも思います。

――とはいえ、典型的な終活である「死への準備」よりも、人生の後半から終盤をいかに充実させるかに力点を置いているのが、アグネスさんらしいですね。

 そうですね。子育てや会社の仕事を終えた後の人生は、自分へのごほうびの時間と考えるべきです。最後に、一番好きな自分になれる時間なんです。

 「お金を稼がなくちゃいけない」「上司の顔色をうかがわなくちゃいけない」「子どもの面倒を見なくちゃいけない」など、ずっとつきまとっていた心配事や時間の制約から自由になる。せっかくだから、それまでチャレンジできなかったことにチャンレジして、新しい自分を探す。これが私の考える終活です。

産休・育休の取得は男女双方の義務に

――最近では、国も自治体も企業も、「女性が活躍できる社会」「出産、子育てがしやすい環境」などの実現に向けて、様々な議論や取り組みを始めています。80年代の「アグネス論争」の時代とは隔世の感があります。

 今は、いろいろ追い風が吹いていると思います。子どもを産みやすく、育てやすい環境にしないと、日本の未来がないことははっきりしています。だからこそ、「子どもはみんなで育てよう」と、国も企業もあれこれ考えるようになりました。

 けれど、もっともっと踏み込まなくちゃいけない部分もたくさんある。

 今でも、勤め先の産休や育休の制度を活用する男性は少ないでしょ。一般企業の立場になれば、産休・育休を取らない男性のほうが使いやすいから、採用したくなる。雇用機会の男女平等のためにも、産休・育休の取得は、男女双方の義務にすべきです。

 こういうことを、はっきり口に出すと、アグネス論争の時の私のように、一部から反発を受けちゃうんですが(笑)、後に続く世代のためにも、必要なことは言うべきですよね。

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