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コラム

『静かなる変革者たち』 横山恵子、蔭山正子、こどもぴあ編著

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『静かなる変革者たち』 横山恵子、蔭山正子、こどもぴあ編著

 「母の行動により嫌な気持ちになったり、 叱責(しっせき) されると、自分で体をたたいたり、つねったり、壁に頭をぶつけたり、時にはかんだりひっかいたり、自分を傷つけ罰するようになりました。そうすると、悪い自分が少しだけ許される気がしました」――。

 精神障害のある親に育てられた人たちは、傷つき孤立した子ども時代を送っただけでなく、成人してからも生きづらさを抱えているケースが多い。そうした人たちが集い、支え合う「精神疾患の親をもつ子どもの会(こどもぴあ)」のメンバー4人が、自らの成育歴を振り返り、思いを語り合ったのが本書だ。

 症状に振り回され、あるときは恐怖や怒りも感じながら、「でも大好き」な存在。周囲から弧絶した環境で、互いに密着し依存した関係が作られることもある。あるメンバーは、病気の母親を支え、「お金を稼ぎながら学校に行き、勉強をして、毎日精いっぱいの日々の中、大人になった私は空っぽでした」と話した。成人後は、人付き合いに加え、自分の感情や希望と向き合うことにも課題を抱えることになる。

 4人は成人後、看護師や社会福祉士などの支援職に就いている。話し合われたことの一つに、「家族は支援者にはなれない。支援者は家族にはなれない」ということがある。精神障害のある当事者だけでなく、家族にも支援の手を伸ばす必要がある。「子どもたち」の心の中を知ることが、そのヒントになる。

(ペンコム 1400円税別)

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