尿漏れで服薬は必要?
夜間の尿漏れで5年前から過活動 膀胱 の治療薬を使って良くなりましたが、3日ほど飲まなかったら失禁しました。医師は「一生薬を飲む必要がある」と言いますが、本当に続けなければならないのでしょうか。(77歳女性)
頻尿が改善するなら継続を
加藤 久美子 名古屋第一赤十字病院女性泌尿器科部長 (名古屋市)
代表的な尿失禁(尿漏れ)には、「腹圧性」と「切迫性」があります。
尿をためる袋が膀胱、その出口を締めるのが尿道とイメージすると、腹圧性は出口が緩み、せきや運動で腹圧がかかった時に尿が漏れるものです。女性は、お産を契機に若い年代でも起こります。切迫性は膀胱が勝手に収縮します。加齢により男女ともに増え、我慢できない病的な尿意や頻尿を伴う過活動膀胱の中心となる症状です。
治療薬の継続についてですが、まず知ってほしいのは、40歳以上の女性の44%、男性の18%に尿失禁がある点です。老眼と同様、ある程度の年齢になれば避けられません。私自身も「頻繁でなければ、薬なしでも構わない」と助言します。
ただ、この治療薬は副作用が少ないので、頻尿なども改善するなら続けてもよいでしょう。飲み続ける負担と、治療による利点を比べて考えてみましょう。
過活動膀胱には生活習慣の見直しを中心とした「行動療法」も重要です。排尿日誌に毎回の排尿量と時刻を記録し、頻尿の状態や水分の取り過ぎを確認します。減量や便秘の解消、さらに、尿道や肛門の周囲の筋肉を繰り返し締める「骨盤底筋訓練」も有効です。