深層NEWSフライデー
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訪日外国人が急増…「インバウンド感染症」どう防ぐ?
ラグビーワールドカップ日本大会に続き、いよいよ来年には東京五輪・パラリンピックを迎え、日本を訪れる外国人が今後ますます増えることが予想されます。10月18日放送のBS日テレ「深層ニュースFRIDAY」では、訪日外国人が持ち込む感染症「インバウンド感染症」をテーマに、元厚生労働省技官で自民党の国光あやの・衆院議員、川名明彦・防衛医大教授と浜田篤郎・東京医大病院教授が議論。コメンテーターとして、読売新聞医療部の利根川昌紀記者も加わって語り合いました。(司会・進行:右松健太キャスター、久野静香アナウンサー)
【ゲスト】
国光あやの(くにみつ・あやの) 自民党衆院議員、医師。元厚生労働省技官として感染症対策などに従事
川名明彦(かわな・あきひこ) 防衛医科大学校教授、日本感染症学会東京オリンピック・パラリンピックアドホック委員会委員長
浜田篤郎(はまだ・あつお) 東京医科大学教授 東京医科大学病院渡航者医療センター部長
【コメンテーター】
利根川昌紀(とねがわ・まさき) 読売新聞医療部主任
渡航歴ない男女が発症
久野 東京都はおととい、海外渡航歴のない10代の男女がデング熱に感染したと発表しました。
ナレーター デング熱に感染したのは同じ学校に通う10代の男女で、先月、奈良と京都に修学旅行に行った後、発熱などの症状が出て入院し、デング熱と診断されました。既に回復し退院していますが、東京都は奈良か京都でデングウイルスを保有する蚊に刺されたのが原因と見ています。デング熱は、2014年、代々木公園などを訪れた人々が感染した事例があります。
久野 浜田さん、海外渡航歴のない2人がデング熱にかかったということなのですが、インバウンド感染症とみてもいいのでしょうか。
浜田 そこは、なかなか判断は難しいですね。この2人が京都、奈良と、外国人の旅行者の多い場所でかかっているということから考えると、インバウンド感染症なのかもしれませんが、その辺はまだはっきりしないと思います。
右松 そもそもこのデング熱というのは、どういう症状が出るのでしょうか。
川名 蚊に刺された後、熱や発疹が出たり、血小板という血液を固める細胞の数が下がったりします。通常はインフルエンザと似たような症状で自然に治っていきますが、中には重症化してショックを起こす方も、まれにはいます。
右松 2014年に代々木公園でデング熱が発生して、私も現場で取材したのですが、蚊をいかに防ぐのかという、かなり果てもないような対策でした。このあたりは国光さん、どのようにお考えですか。
国光 デング熱がはやっている東南アジアやアフリカへの渡航歴だけでなく、ひょっとしてインバウンドで入ってこられた方から広がったのかもしれないということを、診察する医師も肝にとどめておいて、適切な治療につなげるということが大切ですね。
浜田 2014年の流行は8月ぐらいの蚊が多くなる時期に始まったんです。今回は、恐らく感染したのは9月の中旬ぐらいで、これから蚊が少なくなってくる時期ですから、これ以上の流行の拡大はあまり考えられないかな。起きたとしても、小規模なもので済むのではないかと思います。
利根川 ウイルスを持った蚊が来年、また出てきて流行するということはないんでしょうか?
浜田 ウイルスを媒介するヒトスジシマカは、越冬できないんです。卵にウイルスが入っていくんじゃないかと心配する方もいるのですが、それはありません。ですから、今生きているヒトスジシマカが冬に死んでしまえば、そこでウイルスは消えると考えてよろしいんじゃないかと思います。
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