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パッククッキングでおにぎり粥…災害時、湯せんで加熱調理

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支援物資を高齢者に食べやすくアレンジ

 こんにちは。在宅訪問管理栄養士の伊藤清世です。

 ポリ袋に食材を入れて湯せんで加熱調理する「パッククッキング」という調理法をご存じですか。洗い物も少なく、限られた熱源と水で温かい料理が出来上がり、災害時などに利用されることが多いので、テレビなどで見たことがある方もいるのではないでしょうか。今回はこの「パッククッキング」を利用して、災害時の支援物資を高齢の方に食べやすくアレンジするレシピのご紹介です。

 東日本大震災の際、私が勤務する病院には、数日に1度、支援物資としてコンビニのおにぎりや菓子パンが届きました。しかし、残された患者は高齢の方ばかり。冷えたコンビニのおにぎりのご飯粒はパラパラしており、高齢の方には食べにくいものでした。それをお (かゆ) にしてみたところ、食べやすくはなったのですが、使った鍋を洗う水はその当時ありませんでした。つまり、限られた水の量では、お粥を作ることができても、その汚れた鍋を洗うことができないこともあります。すると、次のお粥を炊くための鍋がなくなってしまいます。

 そんな時に活用できるのがこの「パッククッキング」です。鍋もおたまも使う必要がなく、また、ポリ袋ごと食器に入れれば、食器を洗う必要もありません。これなら、何度でもお粥を炊くことができます。

 今回は、たんぱく源として卵を加えたレシピとなっていますが、味付きのカツオフレーク缶や、焼き鳥缶などでもおいしくできます。また、塩の代わりに、乾燥の卵スープのもとなら中華粥、ポタージュスープのもとならリゾット風になります。

 災害はいつどこで、どんなふうに起こるかわからないものです。防ぐことはできなくても、それに対応できる対応力を備えておくことが必要なのではないでしょうか。

※参考 『医療介護の現場で役立つ!パッククッキング:4ステップで簡単!高齢者や料理の苦手な方でも作れるレシピ23』(佐藤真由美著、クインテッセンス出版)

[作り方]

(1)おにぎりはノリとご飯に分ける。分けられない場合はそのままでもよい。
パッククッキング おにぎり粥(1)
(2)ポリ袋に、おにぎりのご飯と水、塩を入れ、袋の外側からもみほぐす。
パッククッキングおにぎり粥(2)の1
ポリ袋を再度開け、卵を割り入れて軽くほぐし、空気を抜きながら袋の上のほうで口を結ぶ(加熱する際、ポリ袋の中の空気が膨張するため)。
パッククッキングおにぎり粥(2)の2 右のポリ袋です

右のポリ袋です

(3)沸騰した湯に(2)のポリ袋を入れ、沸騰した状態で約15分加熱する。この時、耐熱皿を鍋底に敷き、ポリ袋が鍋につかないようにしましょう。
パッククッキングおにぎり粥(3)カセットコンロでもできます

カセットコンロでもできます

(4)やけどに気をつけながらポリ袋を湯から取り出し、5分程度蒸らす。あれば青ノリやふりかけをふる。

※かむ力、のみ込む力には個人差があります。食べる機能を確認しましょう。

 (レシピ作成 在宅訪問管理栄養士 伊藤清世)

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