子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
病気のサイン(7)インフル 突然の発熱と全身痛
病気のサインでは、兵庫県立こども病院救急総合診療科部長の上村克徳さん(52)に聞きます。(聞き手・藤沢一紀)
朝晩の風が冷たくなってきました。この時期、注意しなければならない病気は何と言ってもインフルエンザ。感染力が強く、合併症を引き起こす恐れもあるので注意しましょう。
ある年の冬、4歳の女の子が突然40度以上の熱を出し、けいれんを起こして救急車で搬送されました。けいれんはすぐに治まりましたが、のどの痛みや手足を動かした時の痛みを訴えており、医師はインフルエンザと診断しました。
この病気の典型的なサインは突然の高熱と、関節痛や筋肉痛などの全身の症状です。ウイルスは喉や鼻の粘膜に付着するとすぐに増え始め、1~2日で発症するのが特徴。症状は1週間前後続くことがあります。
けいれんを起こして意識を失い、白目をむくこともあります。慌てず、衣服を緩めて顔を横に向かせ、平らな場所に寝かせてください。舌をかまないようにと口に物を入れると、かえって喉を詰まらせたり、口内を傷つけたりする恐れがあります。けいれんが5分以上続いたり、繰り返したりする時は脳に炎症(急性脳症)が起きている恐れもあるので、すぐに受診してください。
治療薬には、飲み薬の「タミフル」や吸入薬の「リレンザ」「イナビル」、点滴薬の「ラピアクタ」などがあり、いずれも発熱期間を約1日間、短くする効果があります。
予防接種で完全に防ぐことはできませんが、感染や重症化のリスクを下げることができます。子供が予防接種を受ける時は、親も一緒に受けておくと、より効果的でしょう。
【略歴】
上村克徳(かみむら・かつのり)
小児科医。愛媛大卒。国立成育医療研究センターなどを経て、2017年から現職。編著書に「HAPPY!こどものみかた 2版」など。
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