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心のアンチエイジング~米寿になって思うこと

コラム

抗加齢医療をどこで受けるか?

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抗加齢医療をどこで受けるか?

 今、アンチエイジングは二つの世界があります。全身の健康と言える「体のアンチエイジング」への関心と、肌の若返りつまり「見た目のアンチエイジング」です。

 数日前に友人から相談を受けました。「特に病気があるわけではないけど、なんかすべてガタがきているようなので、どこに相談したらいいだろう?」と。80歳を過ぎると、元気な人でも全身の状態が何やら衰えた気がしてくるものです。

 こういう人にこそ、抗加齢医学に詳しい医師が対応すべきだと思いますが、抗加齢を専門にする医師は少なく、ほとんどの医師は、他に専門があり、その延長線上で抗加齢を名乗っている方が多いですね。

 老人科という診療科目もありますが、こちらは加齢に伴う病気が対象なので、はっきりした病気にならないと対処しにくいようです。人間ドックを訪れるのも一つの方法ですが、通常の人間ドックの中心はがん検診です。

人間には二つの年齢がある

 抗加齢医学的に言えば、人間には二つの年齢があります。一つは持って生まれた暦の年齢。生まれた時から暦とともに刻み始め、一分一秒たりとも変えることはできません。もう一つが抗加齢医学対象としての、機能などに着目したその人の生物学的な年齢です。

 その人の身体の機能が年齢相応か、それより老化が進んでいるか、または進みが遅いかを判定し、その上で、老化の進みを遅らせ、もし可能なら多少とも時計の針を戻そうというわけです。抗加齢医学という言葉を使わなくても、わかりやすく言えば「健康長寿」を目的にする医学ということでもあります。

 最近は色々な検査法が進歩し、それぞれの臓器の年齢の推定が可能になっています。血管年齢というのは、耳にしたことがあるでしょう。認知機能や筋力などが年相応かは調べやすい項目です。これらを総合して、体全体の年齢を算出できれば良いのですが、信頼できる数値をはじき出すところまでは研究が進んでいません。

老化度を測った後、大切なのは……

  先ほどの友人の場合、まず望ましいのはアンチエイジング・ドックで検査を受け、それぞれの臓器の老化度を調べ、もし病気が発見されればその治療を優先させ、異常がなくとも老化が進んでいれば、アンチエイジング医療で改善に取り組むことになります。

 と言っても、抗加齢の基本は、バランスのとれた食事と適度な運動です。何も、糖質を排除するとか、一日1食とか過酷な修行に挑む必要ありません。運動も1日置きに20分の散歩を 目処(めど) に、適度に楽しむことをお勧めします。過度な運動はかえって老化を進めるということもわかってきました。そして、最も大事なのはストレスの解消でしょう。これが、このコラムのテーマの「心のアンチエイジング」の核心ということになります。

美容医療の専門医探しも難しい

  一方で、女性にとってアンチエイジングといえば「美容医療の世界」です。最近では「見た目」が重視され、“男も見た目”とまで言われますが、この美容医療の専門医探しが最も難しい。

 美容医療は自由診療です。また法律的には医師免許があれば、何科を名乗っても問題はありません。そこで経験もないまま美容外科を名乗る医師も出てきます。また、最近は変わってきましたが、患者も美容医療を受けていることは隠したがる傾向があるので、患者同士の口コミ情報が少ないですね。

 かかりつけの医師がいても、いまだに大方の医師は美容外科などと 馬鹿(ばか) にして相談相手になってくれないでしょう。そこで頼るのは、テレビ番組やコマーシャル、女性誌などとなります。つまり、一般の方には、マスコミの露出が多いほど、その医師や医療機関が目につきますね。

美容医療の広告が規制された

  そして、クリニック側から言えば、広告費を使えば、相応に患者は集まるわけです。中には、広告費で釣った患者は必要ない手術でも無理強いして元を取ろうとするやからがいないとは限りません。誇大広告、虚偽広告が横行する所以ゆえんです。

 これに対し、2年前に厚労省がメスを入れ、医療に関する広告の規制を厳しくしました。現在では、誇大広告、虚偽広告、患者の体験談、術前術後の比較写真の掲載は原則禁止です。さらに専門医制度を確立して、美容外科も専門医でなければ広告できないようにしようとしていますが、これにはまだ5年はかかるでしょう。

 この問題に対処するため、厚労省管轄の 日本美容医療協会 が存在し、美容医療の適正な医師を紹介してくれます。オンライン相談も行っていますのでご利用下さい。

大阪万博にアンチエイジング・パビリオン!

  ところで今、国を挙げて東京オリンピックの準備に追われています。そして2025年には大阪万博が控えています。そこにアンチエイジング・パビリオンを設ける話が進んでいます。そのパビリオンに入り、アンチエイジング・ドックの検査を受け、見た目年齢も測定し、適切な施術を受け、30分してパビリオンを出る時は、測定すると5~10歳若返っているという趣向です。いかがでしょうか。

 これは、万博の後も特区として存続させるということなので、ご期待ください。

(塩谷信幸 アンチエイジングネットワーク理事長)

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塩谷信幸(しおや・のぶゆき)

1931年生まれ。東京大学医学部卒業。56年、フルブライト留学生として渡米、オルバニー大学で外科および形成外科の専門医資格を取得。64年に帰国後、東京大学形成外科、横浜市立大学形成外科講師を経て、73年より北里大学形成外科教授。96年より同大学名誉教授。日本形成外科学会名誉会員、日本美容外科学会名誉会員。NPOアンチエイジングネットワーク理事長、日本抗加齢医学会顧問、アンチエイジング医師団代表としてアンチエイジングの啓蒙活動を行っている。

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