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森本昌宏「痛みの医学事典」

医療・健康・介護のコラム

義母の介護で激痛に襲われた50代主婦…腰痛の原因はさまざま 検査より「鎮痛」を優先

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「診断がついてから」では患者が…

 いずれにしても、「腰は人体のかなめである」。

 「腰」という漢字は、人が腰に手を当てた際の象形から、当初は「要」であった。しかし、要が「かなめ」の意味で用いられるようになったことから、にくづきを付けて腰という字が別に作られた。なお、「へっぴり腰」に「および腰」「柳腰」「逃げ腰」と、腰に関わる慣用句も多い。

 日本整形外科学会は、腰痛の原因を「脊椎」「神経」「内臓」「血管」「心因性」の五つに大きく分けているが、このうちで脊椎、神経に問題を生じているものには、Mさんのような「腰椎椎間板ヘルニア」、その他では「椎間関節症」「 (こつ)粗鬆(そしょう)(しょう) による腰椎圧迫骨折」などが多い。

 治療法は原因によって異なる。私の施設では、診断的意義を含めてのトリガーポイント注射(押さえて痛い部位への局所注射)や種々の神経ブロックから治療を開始している。その上で、他の検査を追加して、治療に対する反応性も見ながら、治療方針を決めていく。

 「まずは診断がついてから」と考える医師も多いようだが、痛みのために「身の回りのことや寝返りさえできない」と訴えられる患者さんに、「やれMRIだ、やれ造影だ」では本末転倒と言わざるを得ない。私は、原因が何であっても、痛みを止めることが先決であると考えており、まずは鎮痛処置を優先している。

 筋肉や筋膜の異常に起因する腰痛であれば、一度のトリガーポイント注射によって軽快することも少なくない。一般的には鎮痛薬の投与や 牽引(けんいん) などの理学療法が行われているが、「これらの治療では良くならない」として私の診察室を訪れる患者さんはひきもきらず、である。

肥満なら減量が絶対条件

 痛みを起こさないためには、普段の姿勢も重要である。重いものを持つことも避けるべきであるし、長時間のマージャン、パチンコなどもいけない。観光バスに長時間揺られることも感心しない。太り気味の方では、減量が絶対条件である。

 民俗学者の柳田国男は『故郷七十年』の中で、「腹に力を入れて腰をちょっと落として歩いていた日本男児が、吹けば飛ぶような歩き方に変った」と慨嘆している。近年の腰痛の増加は、生活様式や文化の変化にも原因があるのかもしれない。現代人は少し腰を落として謙虚に生活した方がいいのかも……。(森本昌宏 麻酔科医)

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morimoto-masahiro

森本 昌宏(もりもと・まさひろ)

 大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。
 1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。

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2件 のコメント

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診断が先か治療が先か?

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

確かに、様々な制限で正しい診断ができないケースありますものね。

確かに、様々な制限で正しい診断ができないケースありますものね。

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低周波音過敏症

mame

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1年10ヶ月程前から、一日中ウォーンという音が家の中でも外でも同じように聞こえるようになり、近所を見て歩いたら、家からざっと7メートル範囲の所に10件程エコキュートやエコファームを設置している家がありました。一軒はこちらを向いているエコキュートだったので、防震材のゴムシートを張ってもらい少し楽になったかなと思っていたのですが、最近新しく夜中に物凄く大きな音の低周波が一晩中聞こえるようになり、週に1度か2度なのですが全く朝まで眠れない日が続くようになりました。家の周りは小規模住宅用地で、家が密集しており、いままでも音が聞こえるようになってから冷や汗が出たり、胃腸系の圧迫感、全身倦怠感、イライラ、などがでてきたので、対処療法として、内科医から自律神経失調症の薬とうつ病の薬をもらい、自律神経失調の薬は常用するようになってしまいました。鬱病の薬は、気持ちが落ち込んだときにたまに飲んでいます。脊柱管狭窄症の薬、血圧の薬、便秘の薬、アレルギー性蕁麻疹の薬、高脂血症の薬等も飲んでいて毎日6種類の薬を飲んでいます。薬の量の多さも気になりますが、これから先どうして行けば良いのかと不安になってしまいます。私は平成15年に風邪から中途失調になり、今は人工内耳と補聴器をつけていますが、そこからの耳鳴りではありません。取り留めもなくなりましたが、本当に悩んでしまいメールいたしました。宜しくお願いいたします。

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