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「続・健康になりたきゃ武道を習え!」

コラム

「ゴミ拾いと空手はつながっているんです」 極真を学ぶ女性の謎の言葉の真意は?

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「ゴミ拾いと空手はつながっているんです」 極真を学ぶ女性の謎の言葉の真意は?

先輩に横蹴りの指導を受ける上田さん(上田さん提供)

 極真空手を始める2年ほど前まで、運動らしき運動はまったくやってこなかった東京都渋谷区在住の上田 (かなで) さん(46)。

 なぜ空手をやることになったかを書く前に、それまでにどんな人生を歩んできたのかを少しだけ紹介したい。

 愛知県生まれ。県立岡崎高校から慶応大学文学部に進学。大学卒業後、 (しん)(きゅう) 師の国家資格を取得し、マッサージや漢方系のライターの仕事を続けた。2004年、ミュージシャンの男性に出会って結婚。ライブでエジプトの太鼓「ダラブッカ」の音色を聞いて「何これ? おもしろい!」と気に入り、05年に起業し、その太鼓を売るネットショップを始めた。ダラブッカが縁でベリーダンスのダンサーたちとも知り合い、渋谷区神南にあるビルでベリーダンスのスタジオ運営や衣装販売も始め、現在に至る。

 ただ、40代になると健康のことも考えるようになった。これからも長く元気でいたい。できれば100歳まで仕事か社会貢献をしたい――。

子どもが始めた空手 自分も誘われて

 そんなとき、当時、保育園の年長だった長男の ()()() 君が「空手をやりたい」と言い出した。友達が兄弟で空手をやっていて、どうやら影響されたらしい。2016年のことだ。ちなみに名前のサラマは、アラビア語の「サラーム(平和・平安)」から名付けた。

 知り合いの男性Fさんにフェイスブックで相談すると、Fさん自身が続けている極真空手を勧められた。そこで同年12月、自宅に近い極真会館東京城西支部新宿道場に早良麻君は入門。1か月ほどすると、子どもながら体が細マッチョのように引き締まった。自宅で蹴りを見せてくれたが、これもなかなかかっこいい!

 そして翌17年、上田さんはFさんからこんな誘いを受けた。

 「極真会館総本部代官山道場で大人の無料体験会があるから、やってみない?」

 えっ 私が?

 一瞬、戸惑ったが、「5分だけでもやってみて、疲れたら休めばいいか」と考え、体験することにした。

 6月の体験の日。もちろん、まだ道着ではなく、スポーツウェアを着ての参加だ。基本の正拳突きを教えてもらい、やってみた。

 「イチ!」「セイッ!」、「ニ!」「セイッ!」、「サン!」「セイッ!」……。

 道場責任者の赤石誠さんの号令に合わせ、大声で気合を出しながら思いっきり左右の拳を交互に前に突き出す。

 基本の突きや蹴りを一通り習ったら、今度は大型のミットを使った練習だ。気合を出して、ミットに (こん)(しん) の突きと蹴りをたたき込んだ。

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体験で大型ミットを蹴る

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体験後に記念写真。上田さんの左は早良麻君。右は道場責任者の赤石さん(ともに上田さん提供)

 体験会の最後に、赤石先生から「試し割りをやってみたい人!」と挙手を求められた。

 恥ずかしい。割れないかもしれない。痛いかも……。そんな不安はあったが、やりたい気持ちが勝り、勇気を出して手を挙げた。

 両手で板を差し出す赤石先生の前に立つ。先生に教わった動作を確認し、先生に言われたイメージを持って、「エイッ!」と思いきり拳を突き出した。

 気が付いたら、板は「パキッ」ときれいに割れていた。周りから「おお――!」と歓声が上がった。

 「楽しい」。そう思った。

「空手って、すごい!」 気持ちいい、元気になる!

 突きや蹴りを出している間、完全に自分に集中できる。日常の悩みやモヤモヤも、頭からきれいに吹き飛んだ。集中するこの感覚は、なかなか得がたい。大声を出すのも気持ちいい。突きはなかなか赤石先生のようにはうまくできないけど、突き一本でも技術を磨き、窮めていけば、それはそれですごいことだろうな、とも思った。

 体験の1時間は、あっという間に終わった。やる前は「疲れて途中でリタイア」を心配していたが、不思議なことに、終わった後はすごく元気になった。

 「空手って、すごい!」

 ただ、その時は、すぐに入門する踏ん切りはまだつかなかった。

 2週間後、また体験する機会があった。 

 基本の突きや蹴り。ミットへの突きや蹴り。前回と同じだ。集中できて、やっぱりとても気持ちいい! 元気になる。

 8月22日、ついに極真空手に入門、代官山道場生になった。

 以来、週に2~3日は稽古に出席。「今日は稽古に行こうか、どうしようか」と迷うこともあったが、「迷ったら出席する」と決め、熱心に通った。

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山口 博弥(やまぐち・ひろや) 読売新聞東京本社編集委員

 1962年福岡市出身。1987年読売新聞社入社、岐阜支局、地方部内信課、社会部、富山支局、医療部、同部次長、盛岡支局長、医療部長を経て、2018年6月から編集委員。同年9月から1年間、解説部長も兼務。医療部では胃がん、小児医療、精神医療、慢性疼痛、医療事故、高齢者の健康法、マインドフルネスなどを取材。趣味は武道と映画観賞。白髪が増えて老眼も進行したが、いまだにブルース・リーを目指している。

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