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がん患者団体のリレー活動報告

コラム

一般社団法人 がん哲学外来

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 一般社団法人 がん哲学外来は、がんになって、生きることの根源的な意味を改めて考えようとする患者さんに“寄り添う”ことを目的とした団体です。残念ながら、病院などの医療現場は治療に追われており、患者さんやそのご家族の精神的な苦痛や悩みにまでは手が回らないのが実情です。そのような背景の中で、患者さんと医療現場の間にある“隙間”を埋めるべく、活動しています。順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授だった樋野 興夫(おきお) さん(現在、順天堂大学名誉教授、がん哲学外来理事長)が2008年に同大学医学部付属順天堂医院で初めて「がん哲学外来」を開催したことが始まりです。

一般社団法人 がん哲学外来

メディカルカフェで講演する樋野興夫理事長(今年6月、長野県軽井沢町で)

ゆったり悩みを語り合う「メディカルカフェ」

 以降、この活動は病院や医療機関のみならず、企業や多くのボランティアの方々に賛同をいただきながら続いていますが、特に、生活の身近な場所でそれぞれの立場を超えて集える場「メディカルカフェ」が活発です。

 メディカルカフェとは、お茶を飲みながら、ゆったりとした雰囲気で、患者さんやご家族、医療者が同一の平面で対話する場です。医療者からアドバイスをもらって帰るという「がん相談」ではなく、みんな一緒に悩みについて語り合い、不安を解消しようという場です。

 これまでに、北海道から九州まで、ほぼ全国の約200か所で開かれていますが、目標は7000か所での開催です。そのぐらいの数がないと、患者さんやそのご家族に寄り添うことはできないと考えています。

「ナース部会」や「在宅部会」も設立

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「がん哲学外来市民学会 第8回大会」の様子(今年7月、埼玉県川越市で)。市民学会は、がん哲学外来の活動を担う人材の育成と活動を推進するために設立された

 年に1度、医師、医療従事者、一般市民、学生、中高生と、がん問題に関心を持つあらゆる人々が、立場を超えて集うイベント「がん哲学外来市民学会 大会」は、今年7月で8回目を数えました。この大会では、がん闘病と仕事や子育ての両立、患者・家族・遺族が抱える精神的ケアなど、様々な問題について語り合います。

 また、活動の中で、いくつかの部会が生まれました。

 例えば、12年にこの活動に関わる看護師たちによって「がん哲学外来ナース部会」が設立されました。この部会は定例勉強会だけではなく、毎年シンポジウムや講演会を開催するなど、オープンに参加者を募り多くの方々と共に学べる場を提供しています。

 15年にはメディカルカフェの参加経験者を限定会員とした「がん哲学外来在宅部会」を設立しました。この部会は、在宅ケアに関心のある人が集まり、メディカルカフェに参加できない人に寄り添うための情報提供をはじめ、部会員一人ひとりの研さんのために歴史上の人物の哲学に学ぶ取り組みなども行っています。

オンライン診療システム「リモケア」サービスを提供

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テレビ電話を介して医療者と患者さんをつなぐオンライン診療システム「リモケア」を提供している

 そして2019年4月、がん哲学外来は「リモケア事業部」を発足させました。リモケアは「remote care(リモート・ケア=遠隔ケア)」を略した造語で、がん哲学外来が提供する遠隔医療サービスの名称です。リモケア事業部ではオンライン診療とも呼ばれている遠隔からの診療と、それを支える情報通信プラットホームを提供する事業を手掛けています。

 このリモケア事業によって、動くことが困難になったり自宅での緩和ケアを望んだりしている患者さんやそのご家族に、医師や看護師などの医療関係者が、テレビ電話のように、互いの顔を見ながら“寄り添う”ことを実現できました。

 治療であっても緩和ケアであっても、いつでも顔を見て話ができる環境を提供することで、患者さんが「病気であっても、病人ではない」という安心・安全な人生を送れるよう、「がんであっても尊厳をもって人生を生き切ることのできる社会」の実現を目指し、私たちは患者さんとそのご家族に寄り添っていく活動をしていきます。

がんと向き合い前向きに生きる

 がん哲学外来は、これからますます活動の輪を広げてまいります。その中で何よりも重要なことは、より多くの患者さんやそのご家族の意見、そして医療従事者の本音を聞かせていただくことではないかと考えています。

 その貴重なご意見を共有することで「がんと向き合い前向きに生きる」、そのお手伝いをこれからも続けてまいります。

一般社団法人 がん哲学外来

 2008年に順天堂大学医学部病理・腫瘍学教授の樋野興夫さん(現・名誉教授)が同大学医学部付属順天堂医院で初めての「がん哲学外来」を開催。翌09年、NPO法人がん哲学外来を設立し、13年に一般社団法人に移行した。

 主な活動として、がん患者やそのご家族が安心・安全に対話できる場である、がん哲外来メディカルカフェの開催をはじめ、がん患者・一般市民を対象としたシンポジウムやセミナーの開催、がん哲学外来市民学会 大会の開催、がん哲学外来コーディネーターの養成、オンライン診療システム「リモケア」の提供などがある。

ホームページ  http://www.gantetsugaku.org/

 このコーナーでは、公益財団法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。

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公益財団法人 正力厚生会

 正力厚生会は1943年(昭和18)に設立され、2009年に公益財団法人となりました。「がん医療フォーラム」の開催など、2006年度からは「がん患者とその家族への支援」に重点を置いた事業を続けています。
 現在は、医療機関への助成と、いずれも公募によるがん患者団体への助成(最大50万円)、読売日本交響楽団弦楽四重奏の病院コンサート(ハートフルコンサート)を、事業の3本柱としています。
 これからも、より質の高いがん患者支援事業を目指していきます。
 〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1 読売新聞ビル29階
 (電話)03・3216・7122   (ファクス)03・3216・8676
  https://shourikikouseikai.or.jp/

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