認知症介護あるある~岡崎家の場合~
医療・健康・介護のコラム
食事は?アクティビティーは? ヨタヨタ歩く母さんと怒濤の見学ツアー…父さんの施設入所(2)
弱々しい母さん、スタッフは「この方が入所?」
つえをついてヨタヨタと施設の玄関をくぐる母さんに、「この方が入所されるのですか?」とスタッフが尋ねます。「残念ながら、私でなくて夫です」と、力なく笑う母さん。他人にはそう見えるほど弱っているのかと、何とも複雑な気持ちになりましたが、ここは落ち込んでいる場合ではありません。
「私たちが面会に行きやすい場所」であることに加え、父さんの好きなアクティビティーの充実度や、食べることが何よりも生きがいという父さんのため、食事のチェックも忘れません。
ほかにもライターの仕事で知り合った介護のプロから聞いたチェックポイントをガンガン質問しました。普段は控えめな私(自分で言うのもなんですが、事実です)が、この時ばかりは遠慮は捨てました。それでスタッフに嫌な顔をされたとしても、自分の親を託すのです。母さんの同意を得た時の約束もあるので、そこは譲れません。
短時間の見学だけで、すべてを知ることは難しいのですが、それでも「ここはアクティビティーが多い」「ここは食事がおいしそう」など特徴をつかみ、父さんと私たちの要望に合った5か所を選んで申し込みをしました。
特養は大人気…600人待ちの施設も
我が家と同様に特養を希望する人は多く、昔から「数百人待ちが当たり前」といわれていました。今回申し込んだ施設は、いずれも待機者が200人以上で、中には約600人が順番を待っているという大人気の施設もありました。
入所の順番を決める際には、本人の要介護度や家族の状況などが考慮されます。岡崎家も切迫していますが、他のお宅も、高齢者の一人暮らしだったり、夫婦ともに認知症だったりと、必要に迫られて入所を希望しているのです。200人を一気に飛び越えて、即入所!というわけにはいきません。
思わぬ所から救いの手
順番が巡ってくるまでどう乗り切るかが、大問題です。短期間、施設に宿泊できるショートステイを目いっぱい利用しましたが、長年の疲労がたまりにたまった母さんの体は、回復の兆しも見られず……。両親のケアマネジャーと途方に暮れていた時、救いの糸がするすると下りてきました!
父さんの主治医が、父さんの付き添いで来院した母さんの衰弱ぶりに驚き、病院と同じ法人の老人保健施設(老健)に一時的に入れるように手配してくれたのです。ちょっと気難しい感じの先生だと思っていたのですが(すみません)、この時は、仏様のように見えました……。実は患者やその家族思いの慈悲深い先生なのかもしれないと、今までの思いこみを反省しました。
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