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子どもの健康を考える「子なび」

医療・健康・介護のコラム

病気のサイン(6)腸重積 繰り返す腹痛と赤い便

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 病気のサインでは、兵庫県立こども病院救急総合診療科部長の上村克徳さん(52)に聞きます。(聞き手・藤沢一紀)

 子供が 嘔吐おうと したり、おなかを痛がったりする時は、便秘やウイルス性胃腸炎のほか、大至急、小児科を受診すべき病気があります。腸同士がはまり込む「腸 重積じゅうせき 」です。大半は大腸に小腸が入り込んで発症し、組織が 壊死えし する恐れもあります。

 突然嘔吐した1歳の男の子が救急外来に連れて来られました。様子を聞くと、けろっとして遊んでいる時もあれば、急に不機嫌になり、泣き出すこともあるといいます。便を確認するとイチゴジャムのようだったので、医師は腸重積と診断。お尻から空気を注入して圧を加え、腸を元の状態に戻す治療をしました。

病気のサイン(6)腸重積 繰り返す腹痛と赤い便

 この病気のサインは15~30分間程度の周期で繰り返す腹痛(間欠的腹痛)と、イチゴジャムに似た赤い便です。腸の組織が傷ついて便に血液と粘液が混じり、ジャムのようなどろっとした便になるのです。

 腸のぜん動と痛みが連動して一定周期で腹痛が起こり、痛みを訴えられない赤ちゃんには、機嫌のいい時間と悪い時間が交互にやってくるのです。生後半年~2歳頃に起きやすく、男の子の方が女の子より2倍程多い傾向があります。

 子供は体内の内臓が動きやすく、風邪などで腸組織が腫れると起きるのでは、などと考えられていますが、詳しい原因は不明です。24時間以上たつと、はまり込んだ腸は元に戻りづらくなり、壊死する前に外科手術をすることもあります。

 受診時にたまたま泣いていない場合や、発症直後は便に血液が混じっていないこともあります。気になる便が出ていればスマートフォンで撮影し、医師に見せると良いでしょう。

【略歴】
上村克徳(かみむら・かつのり)
 小児科医。愛媛大卒。国立成育医療研究センターなどを経て、2017年から現職。編著書に「HAPPY!こどものみかた 2版」など。

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1件 のコメント

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デジタルとアナログの狭間での察知困難病変

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

高血圧学会併設の、Digital Hypertension Conference に来ています。 ITやAIと言っても様々なものがありますが、様...

高血圧学会併設の、Digital Hypertension Conference に来ています。
ITやAIと言っても様々なものがありますが、様々なものを活用して、いかに生命予後や健康寿命に貢献するか、企業と官公庁が協力をしてシステムを組み上げていくのが大事です。
血圧や食事内容などの管理だけでなく、定期的な画像診断スクリーニングによる脳卒中や心筋梗塞の突然死の回避システムを、未来を見据えて布石を打ってほしいとフロアコメントをしました。

腸重積の嵌頓による腸管壊死やその先にある死亡の回避なんかも、小児救急の一つの課題ですが、アナログとデジタルにはそれぞれにも欠点があり、潮目にも欠点があります。
一方で、両者がうまく作用する医療システムの方が直近としては現実的です。
機械のエラーやノイズを人間の多面的な観察能力で減らす事はできます。

高齢者、小児、意識障害患者の主訴とかの聞き取りは凄く難しいものがあります。
健常者でも我慢強い人は難しいですね。
食事や排せつ物、臨床症状の明らかなものなどをスマホからの写真や動画の転送である程度は確認しやすいですが、将来的にはより簡便な超音波診断装置、低被ばくCTやさらなる高速MRIの開発や普及が進んで欲しいですね。

秋の放射線科学会演題にもしましたが、専門科が何処かではなく、AIやITを含んだ医療界や国家全体のシステムが改善されれば、縦割り行政がどうあろうといずれ時間が解決していくのではないかと思います。

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