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【意思決定】高齢者の「選択」(5)備えれば立ち向かえる

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高齢者の「選択」(5)備えれば立ち向かえる

大学院の指導教員と話す清田さん(右)。医療情報の適切な使い方が修士論文のテーマという(東京都港区で)

 電気機器メーカーのエンジニアだった京都市の清田政孝さん(82)は長い間、がんのことを学んできた。弟のことを時々、思い出しながら。学びさえすれば、準備さえしておけば、がんは立ち向かえる病だと思っている。

 父が67歳で 膵臓すいぞう がんで亡くなった時、四つ下の弟と約束をした。「がんは遺伝するから、保険に入っとけよ。人間ドックは毎年やで」と。

 約20年後、その弟を父と同じ膵臓がんで失った。末期で、手の打ちようがなかった。仕事が忙しく、検診は最初の3年でやめてしまったのだという。「アホか。アホか」。父と同じように腰や背中の激痛に苦しみ、病床で小さくなっていく弟を、心の中で叱った。がんを前に弟は無力だった。運命に 翻弄ほんろう される弟のくやしさを思った。

 そして数年が過ぎた。65歳になった清田さんは、家族のつながりを残酷な形でかみしめた。人間ドックで、自身に早期の膵臓がんが見つかったのだ。「手遅れ」だった父や弟が諦めざるを得なかった手術で、膵臓の3分の2を摘出した。

 この手術をきっかけに、清田さんはがん関連の本を乱読した。先回りしてがんを見つけた自分だけが生き残ったことの意味を、確かめたい。専門用語が飛び交う医師向けの講演会や学術集会にも足を運び、夢中でがんを追った。

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