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【1】ギャンブルの沼 2 「ギャンブル依存」は病気だったの!?

シリーズ「依存症ニッポン」

「ギャンブル依存」は病気だったの!?(上)競艇の刺激に耽溺した「彼」と「彼女」の苦悩

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「そう、オレは病気だよ」

  夫はそうではなかった。簡単に抜け出せない深い沼に、全身がズブズブに漬かってしまっていた。

 ある日、夫から打ち明けられた。「隠れて競艇を続けていた。しかも、消費者金融からの借金が、再び200万円以上にふくれあがっている」と。

 目の前が真っ暗になった。もう、「あの頃」とは違う。守らなければならない家庭があり、子どももいる。彼女は激怒した。

 ところが。

 「ごめん……」。素直に謝られると、いくら腹が立っても、大切なパートナーであり、かけがえのない家族だ。何よりも、普段は穏やかな優しい夫で、子煩悩な父親でもあった。仕事もしっかりやり、きちんと結果を出す。

 今回だけ――。そう思って、若い頃から自分自身で掛けてきて、何があっても手を付けずに来た生命保険を解約し、夫の借金返済に充てた。もちろん、「もう二度とやらない」と誓った夫の言葉があったからだった。

 そんな思いは簡単に打ち破られる。数年後、再び夫がインターネットで競艇の舟券を買っていたことが発覚した。しかも、今度は300万円近い借金を作っていた。

 さすがに彼女はキレた。どなり散らした。「バカ!」「死ななきゃ、わからないんでしょ?」「あんたは病気よ」

 夫は 憔悴(しょうすい) した様子で涙を流した。「そう、オレは病気だよ。自分ではやめられない。助けてほしい」

 「甘えないでよ!」。そう突き放しながら、なにげなく使った言葉の「病気」が気になった。というのも、夫が繰り返してきた謝罪が、その場を取り繕うだけの偽りには思えなかったのだ。間違いなく、いつも心の中から反省していたし、本当にギャンブルをやめようと考えていた。それは、自分にも痛いほどに伝わっていた。

 インターネットで調べてみた。夫と同じように、ギャンブルをやめられない症例が検索で引っかかった。ギャンブル依存という言葉も初めて知った。

 「これ、本当に病気だったの……?」

 疑心暗鬼のまま、依存症の治療を行っている都内の医療機関に出向いた。医師にそれまでの経過を話すと、「ギャンブル依存」と診断され、自助グループを紹介された。

 「彼女」の名前は田中紀子さん。現在は、自分自身の経験をもとに、2014年に公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」を発足させ、代表を務めている。

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someya_prof

染谷 一(そめや・はじめ)

読売新聞東京本社メディア局専門委員
 1988年読売新聞社入社、出版局、医療情報部、文化部、調査研究本部主任研究員、医療ネットワーク事務局専門委員などを経て、2019年6月から現職。

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3件 のコメント

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サラ金地獄から生きのびて来た独居老人

bakabon

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年金生活の独居老人(78歳・男)です。今日はいろいろな実人生像の記録を読ませていただきました。読み進んで行くうち、自分の過去とダブるように当事者達の苦悩の人生が偲ばれて思わず涙を流しながら読んでしまいました。私も若かった頃(昭和40年代)当時盛んだった競輪でサラ金地獄に堕ち込み、僅か数十万円(当時)の借金が完済出来ないまま結婚してしまい、スグに男の子も授かり幸せな家庭を僅か2年程で失ってしまいました・・・28歳で家庭と言う幸せの場を得ながら、わずかに残っていた借金が災いして、妻は怒って1歳半の子供を連れて実家へ帰りやがて協議離婚となってしまいました。その後、流石に懲りてギャンブルは止めることが出来ましたが借金の返済も家庭再建も出来ないまま、中卒で就職以来のK市から50km程離れたH市へ姉を頼って引っ越し、ただ死んだように時が過ぎ去るのを待つと言う30歳~40歳台の一番充実すべき10数年間を棒に振り現在に至ると言う情けない自分を恥じながら生き永らえている次第です。その間、幼くして別れた息子のことが頭から離れず断腸の思いで日々を過ごしていました。定年後調査会社に依頼して所在を確かめ連絡を取りましたが育ててもいない父親から連絡を貰っても息子は戸惑った筈で、「もう僕も子供を育てる家庭人なので今更交流する積りは無い」とあっさり断られました。有名な大企業(造船関係)を曲がりなりにも勤め上げましたが、当時社会福祉は未熟で救済の制度も無かったので、無能な私は今から見れば全く出鱈目な人生を送るしか他に策も無く、年月は過ぎてしまいました。当時は同じようなサラ金地獄で沈んだ人間は多かったように思います。今でも様々な遊戯やギャンブルが繁盛し、世間では自業自得で片付けられる依存症と言う病気の陰で多くの私と同じようなみじめな目に遭っている人たちがいることに心が痛みます。

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