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【意思決定】高齢者の「選択」(3)治療をやめて私らしく

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【意思決定】高齢者の「選択」(3)治療をやめて私らしく

自宅で夫の真一さんを気遣う池上さん。静かな、ゆったりとした時間が流れる(岡山市で)=東直哉撮影

 岡山市の薬剤師、池上園子さん(86)は、8年前、乳がんの抗がん剤治療をやめた。副作用で「どんどん小さくなっていく暮らし」よりも、「私らしく生きること」を選んだ。

 左の乳がんの摘出手術を受けたのは、77歳の時。高齢者の乳がんは、体力や治療の耐性、生活状況の個人差が大きい。確立された標準治療はなかった。

 手術後は、放射線治療を受けた。1年後にがんが頭の骨と背中の骨に転移したことが分かり、1日2回の抗がん剤の服用が始まった。2年間の予定だった。

 服用開始から4か月が過ぎ、池上さんは、残る人生の日々に思いをはせた。

 朝、起きられず、寝室の布団に横たわっている時間が増えている。吐き気で食事がとれない。ほおがこけた素顔を鏡で見るのがつらい。あんなに好きだったおしゃれもデパートでの買い物も、友人との外食も生活から消えてしまった。

 まるで「病気に人生を支配されている」ようだ。

 この苦しみを乗り越えた先に手にするものは何だろう。それまでに失うものは何なのだろう。薬局経営が忙しかった55歳の時、心臓の病気で死にかけた経験がある。「おまけにもらった人生」が、これでいいのか。「私らしく生きる」とは、自分の中に残る「健康」を大切にして、今を生きることではないか……。

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