文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

森本昌宏「痛みの医学事典」

医療・健康・介護のコラム

風が吹いただけで激痛 帯状疱疹は治ったのになぜ?…年齢高いほど神経痛のリスク

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

簡単には消えない痛み

  何よりも早期治療が重要である。通常の鎮痛薬を単独で服用しても効かない(帯状疱疹の段階であれば、ある程度の効果は期待できる)。ペインクリニックでは、種々の神経ブロック療法、脊髄電気刺激療法(背骨のなかに電極を入れる)、イオントフォレーシス療法(薬液を電気分解して皮膚から浸透させる)などを駆使して対処しているが、簡単に痛みが消失するわけではない。 

 痛みを抑制する神経系の働きの増強を目的として、抗うつ薬のトリプタノ-ルやサインバルタも用いられる。障害を受けた神経での異常興奮を抑制する抗てんかん薬のテグレト-ルも使用されているが、その効果を疑問視する報告もある。最近では、痛み情報の伝達を遮断するリリカやタリージェ(抗てんかん薬の仲間)も用いられ、ドイツ・ケルン大学のサバトフスキー医師は、「リリカを患者に8週間投与したところ、約30%で痛みが半減した」と報告している。

痛みを理解し、つき合う姿勢を

 帯状疱疹後神経痛の治療は、一筋縄ではいかない。痛みをなくすという考え方だけではなく、痛みを理解し、「痛みとつき合っていく」姿勢を持つことも重要である。たとえば、趣味に集中していれば、痛みは軽くなるはずだし、旅行に出かけて気分転換を図る(特に温泉はサイコ-である)こともいいだろう。帯状疱疹後神経痛だからといって、してはいけないことは何もない。痛みがあるからといって、部屋に閉じこもっていてはいけないのである。 

-疲労つもりて引出ししヘルペスなりといふ 八十年生きれば そりやぁあなた-(齋藤史)

  齋藤史の歌集「 秋天瑠璃(しゅうてんるり) 」に収められている短歌である。この歌から、「ヘルペスをともかく伴侶として生きて行かねばならない」とする覚悟が読んでとれるはずである。(森本昌宏 麻酔科医)

2 / 2

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

morimoto-masahiro

森本 昌宏(もりもと・まさひろ)

 大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。
 1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。

森本昌宏「痛みの医学事典」の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事