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0歳児に必要な定期接種は5種類13本 「そんなに受けて大丈夫?」と聞かれますが…
接種せず病気にかかるリスクの方が大きい
小児科外来では、「こんなにたくさんのワクチンを接種して大丈夫なの?」と聞かれることもあります。小さな赤ちゃんにたくさん注射するのだから、不安になるのは当然。子どものことを考えているからこそ、不安になるわけですよね。その気持ちを傾聴し、疑問に答えていくのも小児科医の大切な役割です。
確かに、予防接種には、「接種部位が腫れる」「熱が出る」などの副反応が時々みられます。しかし、重い副反応が出ることはまれです。
一方、ワクチンが開発された病気の多くは、「治療法がない、または難しい」「かかると重症になるリスクがある」というものです。CDC(米国疾病予防管理センター)の統計をもとに作成された資料を見ると、ワクチンの効果でジフテリアや麻疹など、多くの重い病気の患者数が90%以上減っていることが分かります。副反応のリスクより、接種せず治療法のない病気にかかるリスクの方がずっと大きいため、私たちは、ワクチンを接種することをお勧めしています。
ロタウイルスワクチンも定期接種化へ
それは任意接種も同じです。現在、小児に対する任意接種のワクチンとして、インフルエンザワクチン、おたふくかぜワクチンなどがあります。任意接種は、「打たなくてもいい余分なワクチン」ではありません。インフルエンザにかかると脳炎・脳症などのリスク、おたふくかぜには髄膜炎や難聴などになるリスクがあります。これらの重い合併症を予防するためにも、ぜひ接種をご検討していただければと思います。
任意接種といえばもう一つ、「ロタウイルスワクチン」の話もしないといけません。
ロタウイルス感染症を予防する有効性は非常に高く、とても優れたワクチンです。世界保健機関(WHO)も、ロタワクチンは十分に安全で、ロタウイルスによる重症胃腸炎や死亡を減らす効果があり、世界中の全ての国の予防接種プログラムに導入すべきだと推奨しています。先日、このワクチンが、早ければ20年度にも定期接種化されるというニュースが飛び込んできました。任意接種だとお金がかかることが問題なのですが、定期接種化で金銭的な負担がなくなれば、接種される方も増え、今後、ロタウイルス感染症の患者はさらに減っていくのではないかと期待しています。
赤ちゃんのお母さんから手紙が
さて、冒頭の細菌性髄膜炎の赤ちゃんですが、その3年ほど後、お母さんからお手紙が届きました。
手紙には、「娘は幼稚園に無事入園しました。今も元気に通っています」と書いてありました。この手紙は、今でも家の中で大切に保管してあります。今では当たり前になったヒブワクチンですが、その手紙を読むと、ハラハラしながら治療していた当時の緊張感がよみがえってきます。
初心を忘れず、これからもワクチンの啓発を進めていきたいと思っています。(坂本昌彦 小児科医)
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0歳の孫を持つおばあちゃんです、私が子育てした時とは、随分予防接種も子育て法も変わりました、特に最近の予防接種は分かりません、そんなに沢山の0歳の時に予防接種をして大丈夫かなと心配でしたが、今回先生の話を読んで安心しました、良かったです!医学の進歩すごいですねー
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