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医療・健康・介護のコラム
0歳児に必要な定期接種は5種類13本 「そんなに受けて大丈夫?」と聞かれますが…
12年ほど前、私は、とある病院で駆け出しの小児科医として働いていました。ある晩、生後11か月くらいの赤ちゃんを連れたお母さんが、救急外来にやってきました。朝から赤ちゃんは発熱していて、水分も取れないとのことでした。顔色も良くありません。診察中もかなりぐったりしていて、眠りがちです。
「ひょっとして」と思い、大急ぎで入院の手配をし、赤ちゃんの背中に針を刺して髄液を調べる髄液検査を行いました。出てきた髄液は濁っており、検査の結果、ヒブ(Hib:ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)による細菌性髄膜炎でした。細菌性髄膜炎の治療は一刻を争い、遅れると命に関わったり後遺症を残したりすることもあります。急いでステロイド薬と抗菌薬による治療を始め、翌日、赤ちゃんは小康状態となりました。

イラスト:江村康子
赤ちゃんの病状に緊迫 翌日「先生の笑顔を初めて見ました」と
ほっとして、赤ちゃんの病室へ行き、お母さんに検査データの結果を伝えると、お母さんは安堵の表情を浮かべました。そして、「昨日入院してから、先生の笑顔を初めて見ました」との言葉が返ってきました。
私は、最初に赤ちゃんを診察して以来、自分の顔がずっと 強張 っていたことを知りました。そのためにお母さんを不安にさせてしまったことに対する申し訳なさと、まだまだ注意が必要とはいえ、「何とか乗り切れそうだ」という安堵の入り交じった気持ちになったのを、今でもはっきりと覚えています。
その翌年から、この細菌性髄膜炎を予防するためのヒブワクチンが、日本でも発売されました。同じく細菌性髄膜炎の原因のひとつである肺炎球菌ワクチンとともに、2013年度から定期接種となり、その結果、現在、日本で細菌性髄膜炎にかかる小児の患者さんは大幅に減少しています。私も、冒頭のようなケースを経験することが、ほとんどなくなりました。本当に素晴らしいことです。日々の診療の中で、予防接種の絶大な効果を感じています。
同時接種には多くのメリット
ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンに限らず、お子さんにとって大切なワクチンはたくさんあります。19年9月現在、0歳のうちに接種する定期接種のワクチンがいくつあるか、皆さんはご存じでしょうか。
答えは「5種類13本」。ヒブと肺炎球菌が各3本、4種混合3本、BCG1本、B型肝炎が3本です。この数には、任意接種のワクチンは入っていません。
「13本打つには13回も通院しないといけないの?」と思われそうですが、同時接種という方法があります。これは2種類以上のワクチンを1回の通院で接種することです。同時接種には、「必要な免疫を早くつけられる」「予防接種スケジュールの調整が簡単になるため、接種忘れの防止になる」「通院回数が減ることで、風邪などを病院でもらう可能性が減る」など、たくさんのメリットがあります。親の負担も軽減します。同時接種でワクチンの効果が下がったり、副反応が強く出たりすることはなく、日本小児科学会も同時接種を推奨しています
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0歳の孫を持つおばあちゃんです、私が子育てした時とは、随分予防接種も子育て法も変わりました、特に最近の予防接種は分かりません、そんなに沢山の0歳の時に予防接種をして大丈夫かなと心配でしたが、今回先生の話を読んで安心しました、良かったです!医学の進歩すごいですねー
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