ごぼう先生のイス健康体操2.0
医療・健康・介護のコラム
セラピスト×ひきこもり支援『コネクトスポット』
介護の「ご」、予防の「ぼう」で、ごぼう先生と申します。
愛知県岡崎市に2019年9月に開所したコネクトスポット。
ひきこもりや不登校、障害のある人などで生活に問題を抱えている当事者や、家族に向けた民間の相談・サポート施設です。
「つまずき、孤独に悩む人々に寄り添っていきたい」と話すのは、NPO法人「コネクトスポット」の山下祐司理事長(32歳)。
山下さんは、名古屋大学で作業療法士の国家資格を取得。卒業後は、精神科・心療内科の医院に作業療法士として6年間勤務しました。
「病院に来る段階で、本人も家族も深刻な状態に陥っていることが多かった。地域に、もっと身近に相談できる場所、人がいれば、もう少し早く手を打てたのでは」と考え、2018年にNPO法人を設立。訪問サポートを開始しました。
作業療法士が、ひきこもり本人や家族の訪問サポート開始
山下さんは、孤独に悩む方とカウンセリングや支援をする中で、ひきこもりの人は「自分が社会の中で一体、何ができるか分からない」と自己理解が未発達で、将来設計をするための意思決定ができない方が多いことが分かりました。
それは、個人の“能力”がないわけではありません。
不登校などで、他人と接する“機会”が圧倒的に少ないことが理由だと分かりました。
学校に復学する、就職する。そういった段階の前に、「地域とつながるための居場所」の必要性を感じました。
そこであえて、人通りのある場所に店舗を構えることにしました。
通所施設を商店街で開始
コネクトスポットの施設には、バランスボールなどを設置して軽い運動ができるスペースや、コミュニケーションがとれるスペースがあります。
ほかにも、一人で作業や勉強ができるスペースなどを設置しました。
【動画】引きこもり支援「NPO法人コネクトスポット」
スタッフは、作業療法士、看護師、理学療法士、介護福祉士、キャリアコンサルタントなど6名。
個性を表現したいという理由で、制服は着用しません。
「気軽に相談できる、地域のひとつの居場所になればうれしい」と山下さん。
障害福祉サービス「自立訓練」として、岡崎市から指定を受けているため、障害者手帳をお持ちの方や、精神科を受診されている方は、制度の対象となる可能性があります。
ひきこもり支援に大切なこと
筆者は、施設を見学するまで、ひきこもりの方のための通所サービスが想像できませんでした。
しかし、コネクトスポットのスタッフの方々とお話しすると、「誰か、何かが、少しずつ時間をかけて当てはまれば良い」というつながる姿勢(コネクト)を感じました。
ひきこもりの方が、誰かひとりのセラピストと会話ができたらいい。
どこかに自宅ではない居場所(スポット)ができればいい。
どれも当てはまらないなら、創(つく)ればいい。
今を知って、向き合って、そこから個人のタイミングとペースで地域に出るために寄り添う居場所が、コネクトスポットでした。
ひきこもりの方々を受け入れる柔軟な環境は、医療や行政のサポートと違う、民間の魅力だと感じました。
令和時代に必要なひとつのスポット(居場所)ではないでしょうか。
法人名NPO法人コネクトスポット
住所 愛知県岡崎市伝馬通二丁目49番地
電話番号 0564-73-6388
ホームページ https://npo.connect-spot.net/
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