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Dr .ヒラの「知って安心 市販薬の話」

医療・健康・介護のコラム

避けたつもりの解熱鎮痛成分で喘息発作 市販薬選びの難しさ

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種類が多く、確認が難しいエヌセイド

 「エヌセイドを含む医薬品」を避けるよう注意しないといけない状況は、喘息のない方であってもありえます。例えば、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、腎臓病などの病気のある方では注意が必要ですし、2014年にデング熱が流行した際にエヌセイドを避けましょう、という報道があった時などは、病気のない方も注意が必要になりました。デング熱は、悪化すると出血が止まりにくくなることがある感染症であり、エヌセイドの副作用である胃・十二指腸潰瘍など、出血源となりうる胃腸障害や抗血小板作用を、出来るだけ避けたいからです。

 「エヌセイドを含む医薬品」を避けるためには、該当する成分をすべて知っておく必要がありますが、その種類はたいへん多いです。ドラッグストアで販売されているかぜ薬と解熱鎮痛薬の多くにエヌセイドは含まれています。医療現場では使わないエヌセイドも市販薬では使われているため、医療現場で働く者にとっても、その確認は簡単ではありません。

 その上、2種類の解熱鎮痛成分を含む市販薬も存在します。拙著「クスリ早見帖ポッケ かぜ・解熱鎮痛・ (せき) 止め・鼻炎の市販薬」に掲載した製品のうち、かぜ薬83製品中6製品(7%)、解熱鎮痛薬63製品中24製品(38%)で、2種類の解熱鎮痛成分が配合されていました。

不意の体調不良に備え、休日の診療所チェックを

 市販薬の添付文書には、どの成分がエヌセイドに該当するか、記載されていません。アスピリン製品では、アセチルサリチル酸としか記載されていない製品が多く、アスピリン製品であることにも気づきにくい状況です。

 「エヌセイドを含む医薬品」を避けたい方にとって、市販薬選びは難しいです。不意な体調不良に備え、休日診療所を掲載している新聞のコーナーやウェブサイトなどから、土日祝日にも受診できる病院を普段から把握しておきましょう。どうしても市販薬を必要とする状況の場合は、必ずドラッグストア・薬局で勤務されている薬剤師や登録販売者の方に、普段からの診療所での方針のことも含めて相談し、安全を重視した対応に努めましょう。(医師 平憲二)

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dr.hira-prof150

平 憲二(ひら けんじ)
 1966年、宮崎県生まれ。総合内科専門医。株式会社プラメドプラス代表取締役。91年、宮崎医科大学(現・宮崎大学医学部)卒。2001年、京都大学大学院医学研究科博士課程内科系専攻修了(臨床疫学)。03年、京都大学病院総合診療科助手。05年に株式会社プラメド、13年に同プラメドプラス設立。著書に「クスリ早見帖ブック 市販薬354」(南山堂)、「クスリ早見帖副読本 医師が教える市販薬の選び方」(PHP研究所)、「クスリ早見帖ポッケ かぜ・解熱鎮痛・咳止め・鼻炎の市販薬」(大垣書店)。

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