精子に隠された「不都合な真実」
妊娠・育児・性の悩み
不妊治療は平均実績じゃない! 「私たち夫婦にとって何がいいか」がすべて
不妊治療を受けるなら、どこがいいのか。各施設のホームページの治療実績を見て、迷っている夫婦も多いと思います。
しかし、不妊の原因は男女とも様々で、その組み合わせは夫婦ごとに千差万別です。最も大事なことは、「私たち夫婦の場合は、この治療により、どのくらい妊娠するか」だけであり、その施設としての平均妊娠率は、まったく関係ありません。今回は、不妊治療における「女のつらさ」と「男のつらさ」についてお話ししますが、平均の話と個人の話を混同しないようにしましょう。
「女性は35歳を過ぎると……」は半分ウソ
「女性は35歳を過ぎると卵子が老化して、妊娠しにくくなる」という話をよく耳にします。この話は半分本当ですが、半分はウソです。
女性は、妊娠20週の胎児のときは卵子の元になる細胞が約600万個ありますが、出生時に約200万個、排卵が始まる思春期には30万~40万個にまで減ります。さらに閉経期では数千個程度と考えられています。
元の細胞の期間を含めると、20歳の方の卵子は20年、40歳の方の卵子は40年という時間が経過しているのです。この間に様々な危険因子にさらされることが、加齢に伴う妊娠する力の低下、染色体異常の増加の原因と考えられています。
ここでまた、平均と個人の話です。確かに10万人の平均をとれば「35歳を過ぎると」という言葉は妥当だと思いますが、しばらく前、ある46歳の女性は「避妊をしていないので、昨年2回妊娠しました」と話していました。この方の場合、不妊ではなく、妊娠しても流産してしまう「不育」が悩みでした。一方で、20代や30代で閉経(早発閉経)してしまう方もいらっしゃいます。重要なのは平均ではなく、自分の卵巣はどうか、なのです。
女性側の不妊原因には様々な治療法 成績も向上
年齢との闘いは厳然とした事実ですが、女性側の不妊原因に対しては様々なホルモン製剤の開発や、両側の卵管が詰まってしまった方への体外受精の導入、そして子宮内膜症に有効な治療法の開発などにより、不妊治療の成績は飛躍的に向上しました。
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