「続・健康になりたきゃ武道を習え!」 山口博弥
医療・健康・介護のコラム
渋谷「ファイヤー通り」に出没 怪しいゴミ拾いヒーローたちの正体は?
9月21日の土曜日、午後2時前。曇り空の下、東京都渋谷区神南にある渋谷消防署前の通称「ファイヤー通り」の一角に、1人、また1人と大人たちが集まってきた。
テレビの戦隊ヒーローものに登場しそうな、ダークなコスプレの男性もいる。米コミックの主人公「キャプテン・マーベル」のシャツに黒マスク姿の女性もいる。総勢7人。う~ん、かなり怪しい。
それぞれ手にしているのは、大きなトングのような「ゴミばさみ(火ばさみ)」や半透明の大きなゴミ袋。ゴミ袋をセットした車輪付きのカートを引いている人もいる。
まもなくして、自転車に乗った女性がやってきた。「お疲れさまです!」とみんなに声をかける。身長160センチの、きゃしゃな雰囲気の女性だ。
上田 奏 さん(46)。ファイヤー通りの集合場所にあるビルの3階を借り、ベリーダンスのスタジオを提供したり、ダンスの衣装や演奏用の太鼓を売ったりする会社を経営している。
ゴミ拾いの「空白地帯」 会社経営の女性が最初は一人で
上田さんがファイヤー通りのゴミ拾いを一人で始めたのは2015年春。路上や植え込みに捨てられたペットボトルや空き缶、ゴミ袋、たばこの箱、ドリンクのプラスチック容器など、ゴミの多さを見るに見かねてのことだった。
渋谷区では、様々な町内会やNPO法人がゴミ拾いを行っているが、渋谷の中心街と原宿をつなぐファイヤー通りは、ゴミ拾いが行われない「空白地帯」(上田さん)だという。
そこで月に1回ほど、職場のビルから緩やかな坂道を上って「五輪橋」に至る約500メートルの区間を、一人で歩きながら、時にはお店のスタッフと一緒にゴミを拾った。
活動の輪が広がり、毎年6月や不定期に実施
活動の輪が広がったのは2017年。渋谷区が地域交流・地域活動の場を広げようと、この年から毎年6月の第1日曜日に「渋谷おとなりサンデー」を実施することになった。これに上田さんも登録し、ゴミ拾いのチラシを作成。同じビルのテナントなど近隣に配布した結果、賛同した10人がゴミ拾いを行った。
以来、毎年の「おとなりサンデー」の日のほかにも、不定期に数人から十数人が集まってはゴミ拾いを実施。渋谷消防署の署員や近所のスターバックスコーヒーの店長も参加するようになった。
1 / 2
【関連記事】
※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。
※個人情報は書き込まないでください。