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医療・健康・介護のニュース・解説

[ヨミドクター10周年]鎌田實さんインタビュー 「医療の進歩が詰まったサイト」 確かで役に立つ情報を

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患者のリテラシーのために

「医療の進歩が詰まったサイト」 これからも確かで役に立つ情報を

 ――医師と患者の関係も変わってきましたか。

 例えば、ヨミドクターの記事を参考にして、かかりつけの医師に質問をすることもできますよね。以前は、医師の言うことを一方的に聞くしかなかったけれど、今はネットを含めた様々な医療情報を患者が持っていて、治療の内容についても医師に自分の要望を伝え、質問もできるようになった。

 かつて、患者が良い医師に巡り合うのは、偶然か、知人が有名な医師を知っていた場合くらいしかなかったわけです。それが、ネットで、病院や医師の情報を得られるようになった。

 恥ずかしい話、日本では入院して歩けなくなる高齢者も多いです。認知症の高齢者を縛るところもある。しかし、入院しても在宅復帰率が高い病院はあるし、縛らない病院もある。そうした良い取り組みを取材した記事を、患者や家族がいつでも読めるサイトがあるというのはとても重要です。

 ただ、ネットの医療情報の中には、エビデンスのないものも多いですね。がんの免疫療法でいえば、科学的根拠のない治療、治らないとは言わないけれど、治るとは言えないような治療を、高額な自由診療で提供するところも見られます。 (わら) をもつかむ思いでいる患者が、そちらへ誘導されてしまう。私の病院にも、「東京に行って治療を受けたい」と申し出た患者さんがいました。

 ネットは有用な情報源ですが、そうした危険もはらんでいるのは事実です。

最後まで自己決定を貫いた樹木希林さん

 ――そういう意味でも、確かで客観的な情報を伝えていく医療サイトの存在が求められるのだと思います。

 日本は患者の医療に関するリテラシー(情報を理解し、活用する力)が低いと言われてきました。自分の症状について、どの診療科にかかったらいいのかもわからない人が多かった。でも、ヨミドクターを見ることで、それがわかる。患者の自己決定を助けることになる。

 亡くなった樹木希林さんは知り合いだったんですけれど、彼女は最後まで自分らしく生きました。放射線治療を受け、痛くないようにしながら大好きな仕事を続け、最後はどこがいいのか聞くと、「自宅よ」と言った。そして、家に戻ってまもなく、家族に看取みとられて逝ったのです。

 人はいつか死ぬ。でも、最後まで自分らしく、納得して逝くことができればいい。そのためには、自己決定をするのに十分な知識や情報が必要です。ヨミドクターには、そんな患者の助けになるサイトであってほしいと思っています。

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