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[ヨミドクター10周年]鎌田實さんインタビュー 「医療の進歩が詰まったサイト」 確かで役に立つ情報を

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 読売新聞の医療・健康・介護サイト「ヨミドクター」は、2009年10月に開設され、今月、10周年の節目を迎えました。日本の医療を巡る10年間の変化と医療サイトが果たしてきた役割、そして、これからのヨミドクターに求められることは何か――。諏訪中央病院の鎌田實名誉院長にお聞きしました。(聞き手・梅崎正直 ヨミドクター編集長、撮影・小倉和徳)

「医療の進歩が詰まったサイト」 これからも確かで役に立つ情報を

ネットの医療情報 患者の視野広げる

 ――ヨミドクター開設まもない2009年12月、鎌田先生と女優・秋吉久美子さんの対談が6回にわたって掲載されました。この記事は、今でもよく読まれています。

 そうでした。今回、あれから10年たったヨミドクターを読み直して、10年間の蓄積の大きさを感じました。おもしろいし、役に立つ情報が詰まっていますね。

――この10年、日本の医療にどのような変化を感じていらっしゃいますか。

 ものすごく進歩しましたよね。例えば、がん。それまでのがんの3大治療は、「手術」「放射線療法」「化学療法」だった。それが、オプジーボなど免疫チェックポイント阻害薬の登場で、10年前にはなかった免疫療法という選択肢ができた。ヨミドクターの医療相談室にも「 膵臓(すいぞう) がんに免疫療法はどうか?」という質問が寄せられています。

 また、白血病に対するCAR-T細胞療法という新しい治療法もあって、骨髄移植よりも効果があるのではないかといわれている。医療と患者をとりまく状況は大きく変わりました。

 ヨミドクターのコンテンツには、その医療の進歩が詰まっていて、有料ですけれど「病院の実力」で検索すれば、地方に住んでいる人が、東京まで行かなくても、地元で最先端の医療を受けられる医療機関がないか、調べることができます。以前は、かかっている医師の言うことがすべてだったけれど、インターネットで情報を得られることで、患者の視野と選択肢が広がりました。これも、この10年の変化じゃないですか。

「治せない」とき 問われる医療の役割

「医療の進歩が詰まったサイト」 これからも確かで役に立つ情報を

 ――09年の対談の中で、先生は「医療は治すことが95%くらいでものすごく大事なんだけれども、人間は年をとるし、いつかは死んでいくというのが定め」として、「治せないときに温かな医療がないというのはとてもつらい」と話しています。超高齢社会に突入した日本では、医療に求められることも変わってきているのではないですか。

 僕の病院に55歳の保育園長が入院してきて、卵巣がんの末期だったんですね。緩和ケアを選んで、少し体調が良いときに、マッサージからリハビリに移行し、ついには再び歩けるようになったんです。それで彼女は、保育園へ行って子どもたちとお別れをし、職員に自分の保育への思いを伝えました。それから家族と日本海へ旅行をして……。最後まで自分らしく生きたのです。そうした患者の望みをかなえるのもまた、医療の役割だと思います。

 ヨミドクターにがんの「レジリエンス外来」の記事が出ていました。患者が自ら立ち直るために、心のケアをするものです。自分に残された時間をどう充実させるか。「自分はここまでやった」と納得することができるか。その背中を押すことも、現代の医療が果たすべき役割ではないでしょうか。

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