子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
病気のサイン(5)嘔吐下痢 こまめな水分補給を
病気のサインでは、兵庫県立こども病院救急総合診療科部長の上村克徳さん(52)に聞きます。(聞き手・藤沢一紀)
子供が急に 嘔吐 したり下痢をしたりした経験はありませんか? これらは多くの子供が一度は感染するウイルス性胃腸炎で多いサインです。
1歳の女児が夜中に3、4回嘔吐し、水のような下痢をしました。母乳やミルクを吸う元気もなくぐったりしていたので、心配した親御さんが救急外来に連れて来られました。軽い脱水症状で、水分や塩分を速やかに補給できる経口補水液を飲ませると徐々に回復しました。
ロタウイルスやアデノウイルス、ノロウイルスが代表的な原因です。これらに感染すると、胃腸の粘膜が傷み、消化吸収の働きが大きく落ちてしまいます。下痢の症状が1週間程度、続くこともあります。
ロタウイルスは多くの子供が5歳頃までに感染します。酸っぱい臭いの黄白色の下痢をし、ひどくなると米のとぎ汁のように白色で水っぽくなります。
怖いのは脱水症状。子供の体は少しの嘔吐や下痢でも脱水症状になりやすいのです。泣いても涙があまり出なかったり、手足が冷たくなったりするのは重い症状なので小児科を受診してください。予防や治療のためのポイントは「少量頻回」の経口補水液の摂取。5~10ccの量を5分ほどの間隔でスプーンを使って飲ませてあげてください。
水分を飲んでも吐かなくなったらエネルギー源となる穀類を食べさせましょう。脂肪の多い肉類は胃腸に負担がかかるので、避けたほうがよいでしょう。
ロタウイルスの感染予防には、口から飲むワクチンが有効とされています。保育所や幼稚園などで感染が広がることも多いので、せっけんを使って流水で手を洗うことが大切です。
【略歴】
上村克徳(かみむら・かつのり)
小児科医。愛媛大卒。国立成育医療研究センターなどを経て、2017年から現職。編著書に「HAPPY!こどものみかた 2版」など。
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