文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

がん患者団体のリレー活動報告

医療・健康・介護のコラム

NPO法人「市民と共に創るホスピスケアの会」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 日本人は生涯で2人に1人ががんになると言われます。医療の進歩に伴って生存率が向上し、がん患者は診断を受けた後、治療を続けながら長く社会生活を送るようになりました。同時に、治療による副作用、経済的な問題、将来への不安なども続きます。そのような中で、同じ立場の人と、悩みや体験を語り合い、不安を解消し、治療や病気と折り合い、自分らしく暮らすことを支える場を提供したいとの願いから、札幌市を中心に20年以上活動を続けています。

NPO法人「市民と共に創るホスピスケアの会」

がんと共存し、自分らしく生きる

 がん患者は「がんサバイバー」となり、がんをどう治すか、再発や転移をどう防ぐか、ということだけではなく、がんと共存しどのように自分らしく生きるか、と考え始めます。支援、支え合いの場は、さまざまな意思決定をともに考える機会ともなります。

 「共に創る」がこの会のテーマです。「受け手」と「担い手」が対等に協力しあうことでしか、望ましい医療も福祉も実現しないという信念のもと、五つの目的を掲げて活動しています。

 1.ホスピスケアを実践している場を支援し、その考え方を伝えていく。

 2.ホスピスケア運動に参加しながら、より広がりのある活動をめざし、将来の地域づくり、コミュニティーづくりに参加する。

 3.その人の人生をあるがままに支える方法を学びあい、共感しあう社会づくりをめざす。

 4.各人はボランティアの精神で参加し、対等な市民としてのネットワークを広げていく。

 5.学習・研究・活動の成果を公表し、制度改革への提言につなげていく。

がん医療や緩和ケアについて学ぶ講座など

 会では、下記のような活動を行っています。

  〈ホスピスケア市民講座〉
 一般市民に緩和ケアについて知ってもらおうと、1994年、医療者とボランティアが一緒になって「市民と共に創るホスピスケア講座」を始め、その後、「ホスピスケア市民講座」と名称を変更しました。多彩な講師を迎え、がん医療や緩和ケアについて総合的に学習しています。年4回開催。

  〈ひまわりサロン ひまわりナイトサロン〉
 がんの患者さん・ご家族が悩みを語り、体験を分かち合い、支えあう場です。ひまわりサロンは毎月第1・3火曜日13:30~15:30に開催。ナイトサロンは毎月第3金曜日18:00~20:00に開催。

  〈北海道AYA世代患者の会アヤキタ!〉
AYA世代(主に15~39歳頃の思春期・若年成人)にがんを経験した仲間と、病気のことや学業、仕事、恋愛、結婚、妊娠などについて話し合っています。

  〈がん患者家族のための情報提供支援「ちえのわ」〉
 自分の力で病気や治療と折り合うことができるよう、患者・家族の皆さんの持つ力をサポートします。「がんと診断された患者さんが、納得して主体的に療養生活を送れるように、また、より豊かな人生を過ごせるように、知識を蓄え知恵をつけ、笑顔で支えあいの輪を広げましょう」。年3回開催。

  〈ちえのわ 街なかカフェ~がんと暮らしの知恵いろいろ~〉

id=20190925-027-OYTEI50003,rev=4,headline=false,link=true,float=center,lineFeed=true

札幌市内で開かれている「ちえのわ 街なかカフェ」

  札幌中心街で、がんに関する様々な情報の提供、専門家による無料相談やミニ講演会の開催などを行っています。

  〈なのはなの会(遺族会)〉
 大切な方をがんで亡くされたご家族が同じ立場の方と語り、体験を分かち合い、支えあう場です。毎月第2火曜日13:30~15:30に開催。

  〈ウィッグレンタルサロン〉
 がん治療の副作用などによる頭髪の脱毛でお困りの方にウィッグを1年間レンタルします。

  〈みもざサロン(アピアランスケア)〉
 手術痕や皮膚変色のカバー、眉の描き方、爪のケアなどをアドバイスします。偶数月第2土曜日13:30~15:30に開催。

  〈会報「ほすぴすけあ」〉
 市民講座リポート、催し、がん医療や緩和ケアについての情報をお知らせします。年2回発行。

 医療などの専門家や訓練を受けたピアサポーター(仲間を支援する人)が連携し、質の高い支援を行い、がんになっても自分らしく生きることのできる地域共生社会の実現を目指していきます。

NPO法人「市民と共に創るホスピスケアの会」(Associati on  for  Hospice  Care  with  Citizen)

 1997年5月設立。2002年1月にNPO法人化。私たちは人生の最後まで自分らしくありたいと願い、「その人らしい生と死を支える」というホスピスの考えが終末期だけでなく医療全体の、そして社会の基本となることを目指している。がん患者・家族・遺族のみなさまが、正しい情報や知識を得られるように、また、気がねなく、語らい、涙し、ホッとできるように、様々な催しを開催している。

 正力厚生会からの助成を受け、2013年度に、がん患者家族のための情報提供支援事業「ちえのわ」を、2018年度に「ちえのわ 街なかカフェ~がんと暮らしの知恵いろいろ~」を開催した。

 ホームページ  https://hospice-care.tumblr.com/
 ブログ     http://blog.canpan.info/shhp/

 

 このコーナーでは、公益財団法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

02 200 200

公益財団法人 正力厚生会

 正力厚生会は1943年(昭和18)に設立され、2009年に公益財団法人となりました。「がん医療フォーラム」の開催など、2006年度からは「がん患者とその家族への支援」に重点を置いた事業を続けています。
 現在は、医療機関への助成と、いずれも公募によるがん患者団体への助成(最大50万円)、読売日本交響楽団弦楽四重奏の病院コンサート(ハートフルコンサート)を、事業の3本柱としています。
 これからも、より質の高いがん患者支援事業を目指していきます。
 〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1 読売新聞ビル29階
 (電話)03・3216・7122   (ファクス)03・3216・8676
  https://shourikikouseikai.or.jp/

がん患者団体のリレー活動報告の一覧を見る

最新記事