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がんを語る

コラム

白血病(上)骨髄移植や生涯服薬、タイプで違う症状や治療 抗がん剤は「テレビドラマで見たような」つらさ

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薬を一生飲み続けなければならない悩み

――小林さんの場合は、治療は通院ですか。

小林  はい。慢性骨髄性白血病は、効果の高い新薬の飲み薬が登場したおかげで通院しながら症状を抑えることができるようになりました。僕が飲んでいるのは、第2世代と言われる薬です。

 ただ、みなさんのように移植だとか、入院とかはしていないのですが、ずっと薬を飲み続けなければならないというのが大変です。私は薬を飲み始めて数か月で検査の数値は落ち着いてきたのですが、薬で抑え込んでいる状態なので、薬をやめたら、また上がってくるリスクがあるのでやめることができません。やめても大丈夫なのではないかという研究も行われているようですが、死ぬまで薬を飲み続けなければならないというのは、大きな悩みですね。

白血病(上) 骨髄移植や生涯服薬、タイプで違う症状や治療 抗がん剤は「テレビドラマで見たような」つらさ

島村 (写真) 私は入院した後、1クール1週間の抗がん剤治療を受け、2~4週間休薬という治療を、3クール続けました。1週間の抗がん剤治療は、点滴が24時間続きました。抗がん剤治療がどんなものかというのは、病気になる前にテレビドラマなどで見ていて「あんな感じなのかなあ」と思っていたのですけど、実際に受けてみて、本当につらかった。寝返りを打つとか、体をちょっと動かすだけで、吐いてしまう状態でした。脱毛のせいで髪の毛やまつ毛も抜けて、自分の姿を鏡で見るのが嫌でした。

 副作用の一つに、臭いが分からなくなったり、普段と異なる臭いに感じたりする嗅覚障害があって。私は人の臭いに敏感になってしまい、病室に看護師さんや先生が入ってくるのも、食べ物の臭いも、病室のドアが開いただけで、臭いがして気持ちが悪くなるんです。

新井  嗅覚障害って、臭いが分からなくなるというよりはむしろ、鼻がききすぎるようになる。そのうち、配膳車が近づいてくるカタカタという音が聞こえるだけでも気持ち悪くなるような……。

島村  そうです。ああ来た、来たって感じで。私は特に、ペットボトルのお茶がトイレのにおいに感じてしまって。ペットボトルのふたをあけただけで、部屋の中にトイレの臭いが充満するように感じていました。

高額な薬剤費 経済的な負担の悩み

――新井さんは骨髄移植を受けられたわけですが、どういった経過をたどったのですか。

新井 診断がついたその日に入院した後は、抗がん剤治療を何度か繰り返して、やっと「寛解ですよ」と言われ、その後、「地固め療法」と呼ばれる抗がん剤治療をやって。それでやっと半年です。最初から骨髄移植を視野にいれた治療ということでしたが、姉とはHLAが合わず、骨髄バンクでドナーを探しました。当時にしては早かったんですけど、3か月くらいでドナーが見つかり、骨髄移植を受けられる東大病院に転院して、移植を受けました。

 入院だけで丸1年。当時は、子どもが小学生と中学生。さすがに死ぬってことは考えなかったですけど、とりあえず、生活をどうしようかということが大問題でした。生命保険の対象になっているかとか、これはどうなのか、これはどうなのかと。パソコンで調べると、5年生存率何%とかいう数字が目に入るわけです。その時はもう息ができないくらいの思いです。とにかく、もう、どうやって生活していこうという思いしかありませんでした。

島村  自分の場合は病気が見つかったのが、勤めていた会社をやめて、就活をしている最中でした。仕事をしておらず収入がない時期だったので、高額療養費制度の自己負担額は少なかったです。ただ、両親がちょうど定年退職し、これから第二の人生を楽しむというところを、毎日毎日私のお見舞いに通ってくれたので、申し訳なかったなあという思いです。

小林  私は一人暮らしで、実家の両親は引退していて、「いつ帰ってきてもいいよ」とは言われたんですけど。金銭的な不安は、まあありますよね。一錠約1万円の薬を毎日2錠飲んでいるので、薬代が1か月約60万円、3か月で約180万円になります。きょう、病院の領収書を持ってきたのですけど、3か月で自己負担(3割)分が約50万円です。

 実際の負担は高額療養費制度や会社の健保組合の一部負担があって、だいたい年間10万円から20万円の間くらいでしょうか。それでも5年にすれば、100万円。これが例えば60歳まで続くとなると……。医療費の不安は大きいですね。

――みなさん、お仕事はどうされたのですか?

島村  退院後は、特に制限はなく生活して問題ないと許可されていたので、その点では問題ありませんでした。ただ採用に影響してしまうのが怖くて、最初に就職した場所では病気のことは言わずに入職してしまいました。再就職した頃はまだウイッグもつけていたので、もしもばれたらどうしようかと、不安がありました。

白血病(上) 骨髄移植や生涯服薬、タイプで違う症状や治療 抗がん剤は「テレビドラマで見たような」つらさ

小林 (写真) 会社の健診がきっかけだったので、黙っているわけにもいかず、入院は必要でないこと、通院で毎日薬を飲むことなどを伝えました。一番の心配は薬の副作用でした。服用後にけいれんの副作用が出ることがあることなどを友人の患者から聞いて、朝薬を飲んだ後に満員の通勤電車の中でそうなったらどうしようと思いました。そこで、万が一、通勤途中に何かあっても遅刻はしないですむようにと、薬を飲み始めたその日から、午前7時に会社に着くようにしました。

 システムエンジニアという仕事柄、比較的時間は自由だということもありますが、あいつは、よく仕事をしていると周囲からみられていると、通院のために夕方少し早く帰ることがあっても、「ああいいよ」と。人よりも早くきて仕事をしているのをアピールするというのもありました。やはり、仕事で会社に迷惑をかけたくないという思いは強いです。朝7時出社は今も続けています。

島村  小林さんみたいに早く出勤しているわけではないですけど、仕事で迷惑をかけたくないという思いは強いですね。自分の意識の中で、今は寛解状態にあるけれど、もし再発したらという思いがあって。たとえあした入院することになっても、まわりの人が困らないようにしておこうと、毎日の仕事と、少しでもプラスアルファの仕事を終わらせて帰ろうという意識があります。そう思っているだけで終わっている日が多いですけど(笑)。

新井  骨髄移植を受けて復職したときには、時短勤務でした。午前10時~午後4時の月水金の勤務で始めて、半年かけて毎日の勤務になりました。それでも、3か月に1度とか月に1度とか、熱を出して休むことがありました。最初は中で仕事をしていましたが、そのうち、担当は持たないけど以前のように外回りの勤務に出るようになりました。いろいろと職場の理解があったおかげですね。

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男性の3人に2人、女性の2人に1人が、がんになる時代です。このコーナーでは、がん種別に患者や経験者を招き、病との向き合い方を話し合います。
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