文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

知りたい!

ニュース・解説

授乳期に起きる乳腺炎…早めの対策 重症化防ぐ

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 乳房に痛みが出る乳腺炎は、母乳で子育てをする女性の3~5人に1人が経験するとされる。母乳の詰まりが原因で、放置すると重症化する。早めに助産師らに相談することが必要だ。(中島久美子)

授乳期に起きる乳腺炎…早めの対策 重症化防ぐ

 初期は腫れや痛み

 乳腺は、乳頭(乳首)から放射線状に広がる組織だ。母乳を作る「小葉」と、母乳の通り道となる「乳管」に分かれる。赤ちゃんが乳頭に吸い付くと、母親の脳が刺激され、母乳を作るのに関わる2種類のホルモンの分泌がさかんになる。

 乳腺炎は、疲れていたり、脱水気味だったりすると起きやすい。母乳が乳腺に詰まると、乳房が赤く腫れて痛み、硬くなる。「非感染性(うっ滞性)」と呼ばれる初期段階だ。

 放っておくと、乳頭から入った細菌が、詰まった場所で増え、「感染性( 化膿性かのうせい )」に進行する。高熱が出て、頭痛や関節痛など症状が全身に広がる。炎症を起こした部分に うみ がたまり、しこりになることもある。

 対処法は、詰まりを取り除き、たまった母乳を外に出すのが基本だ。痛みが少ないなら授乳を続け、飲み残しは搾る。抗菌薬や痛み止めを使う場合もある。

 助産師によるマッサージも有効だ。乳房を触った感覚や表面の色から詰まった場所を特定し、母乳が流れるようにもむ。主に産院の母乳外来で対応する。重症化や再発を防ぐため、〈1〉こまめに授乳する〈2〉左右バランスよく飲ませる〈3〉いろいろな抱き方で授乳する――といった指導もする。1回あたり2000~5000円程度の費用がかかる。

   一部保険が適用

 昨年春、診療報酬で「乳腺炎重症化予防ケア・指導料」が新設され、一部の産院で保険が利くようになった。専門の技術や知識を持つ助産師がいるなどし、国に届け出をしている産院でケアを受けると、1回の出産あたり4回まで保険が適用される。保険が利くかどうかは、産院の院内に掲示されている。薬が処方された場合などは、別途、医療費がかかる。

 今年、双子を産んだ群馬県みどり市の 藤生ふじう 綾香さん(31)は産後1か月半の7月、左の乳房が腫れ、高熱が出た。出産した太田記念病院(群馬県太田市)で、マッサージや、飲み残しを減らす授乳姿勢のアドバイスを受けた。

 長男(7)の産後も乳腺炎になった。別の産院に通い、1回3000円ほどかかった。「今回は保険が利いて助かりました。マッサージの間に双子育児の苦労も聞いてもらい、心も軽くなりました」と話す。

 太田記念病院の助産師、三武美紀さんは「産後のお母さんは体調が悪くなっても、自分のことは後回しにしがちだ。乳腺炎を疑う症状が出たら、一人で頑張らずに助産師に相談してほしい」と強調する。

 重症の場合は、乳腺外科医や乳房の検査ができる産婦人科医が対応する。皮膚にメスを入れて、膿やしこりを取り除く手術を行う。

 一方、乳腺炎と思っていたら、乳がんだったというケースもある。産婦人科と乳腺の専門医として診療するリボーンレディースクリニック(東京都立川市)院長の竹田奈保子さんは、「授乳やマッサージをしても消えないしこりがあれば、詳しい検査を受けましょう」と呼びかけている。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

知りたい!の一覧を見る

最新記事