認知症介護あるある~岡崎家の場合~
介護・シニア
もう在宅は無理? 分かっていても揺れる心…父さんの施設入所(1)
母さんも介護が必要に
父さんが脳出血で倒れてから21年となった今年の夏、岡崎家では、介護における新たな壁にぶち当たりました。それは「在宅介護の限界」です。
これまで父さんをメインで介護していた母さんが倒れてしまい、自身も介護が必要な状態になってしまいました。
卵巣がんと闘いながら、持ち前の明るさで父さんの介護を乗り切ってきた母さんも、もう若くはありません。無理に無理を重ねた体が、とうとう悲鳴を上げたようです。
母さんが、がんの手術のために入院したときも、介護のプロやご近所さんなど周りの力を借りながら、なんとか家で父さんを介護しました。ですが、あれから十数年が過ぎ、父さんの認知症も進行し、介護が必要なことが増えています。私も結婚して、近くといえども両親と別に暮らし、まだ幼い息子を育てています。私たちを取り巻く状況は、21年で大きく変わっていたのでした。
施設入所、父さんはOKしたけれど…
自分の家庭という、守らなければならない存在を得た私は、少し前から「在宅で父さんの介護を続けることは、もう厳しい」と考えるようになっていました。
私のそんな気持ちをくんでくれたケアマネジャーは、折を見ては、母さんにさりげなく特別養護老人ホームの入所申込書を渡すなど「施設入所」の話を持ち掛けてくれていました。
施設に入るのは父さんですから、父さんにも相談をしなくてはいけません。「母さんが家で父さんを介護するのは限界かもしれない。施設で介護を受けてもらってもいい? もちろんできる限り面会にいくし、時々は、おうちに戻って何日か一緒に過ごすこともできるからね」と、私の正直な気持ちを話しました。
しばらく下を向いて考えていた父さんの姿に胸が押しつぶされそうになりましたが「うん……」と、返事をしてくれました。きっと父さんなりに、私たちの状況を思ってくれたのではないでしょうか。
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