認知症介護あるある~岡崎家の場合~
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もう在宅は無理? 分かっていても揺れる心…父さんの施設入所(1)
申し込みを引き延ばす母
ところが母さんは「申込用紙をなくしたから、特養に申し込みできない!!」などと言って(私が「また、もらうから」と言っても、「探すから待って」と止められる)、遠回しに施設入所を拒み続けました。父さんの介護のグチをブーブー言いながらも、これまで苦楽を共にした夫婦として思うことがあるのでしょう。そんな母さんの様子に私の考えが揺らぐこともありました。
そんなふうに自分にも迷いがあったため、母さんが体調を崩す中でも「私がなんとかしよう!」と、実家に通う回数を増やすなどで対応をしていました。
介護の取材を通じて、「施設入所も介護の一つ」「自分が倒れたら、みんなが共倒れ」という思いが強くなり、記事にも繰り返しそう書いてきました。それでも、長年一緒に暮らした自分の家族を「在宅介護」から「施設入所」に移すというのは、越えなければならない大きな心の壁があるのです。
眠れない夜…ついに決心
でも、この夏、とうとう母さんがダウンして、介護する側から介護される側になってしまいました。しばらくは私なりにいろいろとやりくりをして頑張っていましたが、両親の介護と、5歳の息子の育児(夫は長期海外出張中)のトリプルケアを抱えた日々は、想像を超える過酷なものでした。そしてなによりも、両親の介護のために、まだ幼い息子にさまざまな場面で我慢を強いる生活に耐えられなくなってきたのです。
3人のケアで体は疲れているのに、朝方まで眠れない夜が数日続きました。母さんががんになって、その看病と父さんの介護を一人で背負い、心療内科にお世話になるまで自分を追い詰めてしまったときのことを思い出しました。
「息子のためにも、また、あの状態に陥るわけにはいかない」。ついに、私はある決心をしました。(岡崎杏里 ライター)
登場人物の紹介は こちら
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