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Dr.えんどこの「皮膚とココロにやさしい話」

医療・健康・介護のコラム

皮膚科医の私が手足口病に! 足裏の痛みで一時は歩行も困難

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 こんにちは。皮膚科医のえんどこです。それにしても、先日の台風15号はとんでもなかったですね。雨もそうでしたが、とにかく風がすごかった。私は地下鉄で通勤しているのですが、JRが朝の早い時間は計画運休でしたから、その (ひず) みが一気に押し寄せたかのようでした。ホームがいっぱいどころか、ホームに降りる階段にまで人であふれかえっていました。7時10分には駅に着いたはずなのに、職場に到着したのは11時半……。「首都圏のインフラが崩壊すると、こんなことになるのか……」と、ふだん電車や地下鉄にいかに頼った生活をしているのか、と怖さを実感した一日でした。

患者少ない大人の手足口病 まさか自分が

 今回は、知人から「そろそろ書きなよ」とか、「まさに人の痛みがわかる医師ってやつだ」と言われ続け、「絶対に書かん!」と思っていた皮膚疾患、手足口病について書きたいと思います。

 まず、どうしてそんなことを言われるのかというと、それは最近、自分自身が手足口病にかかってしまったから!です(笑)。皮膚科医になって20数年、相当な数の手足口病の患者さんを診察してきましたが、あらためて思い返してみると、その患者さんのほとんどは子供の患者さんでした。大人の手足口病の患者さんを診察した記憶は、わずかのような気がします。

 大人の手足口病は、子供に比べると症状が重めだということは、頭ではわかっているつもりでした。しかし、いざ自分がなってみると、その症状は自分の想像をはるかに超えていました。軽く考えていた分、正直、かなりつらい目にあいました。反省の意味も込めて、自分のたどった経過を紹介してみます。

高熱、関節痛に続き、手足に赤い発疹が

 最初に、まずいきなりの高熱から始まりました。熱のせいで全身が気だるくなり、体の節々にも痛みが生じるようになりました。6月下旬あたりの出来事だったのですが、私が真っ先に疑ったのはインフルエンザでした。

 実を言うと10年ほど前、なんと8月にインフルエンザにかかったことがあるからです。その時は「夏にインフルエンザにかかるなんて、流行を先取りしているんだか、時代遅れなんだか」と笑われたものでしたが(時代遅れだと思います……)、いきなりの高熱、関節痛という初期の症状はほぼ同じでした。

 ただ、普通に行動はできていましたので、やはりインフルエンザではないだろうなあと思っていたところ、熱は下がり、そのあたりから手のひらと指に赤い斑点が出現しました。たった2個でした。翌日にまた1個、その翌日にまた2個というように赤い斑点は少しずつ増えて、手を握るとわずかに痛みも伴ってきました。

 「痛みか、そういえば歩いている時にもなんか痛いなあ」と足の裏を見たら仰天、「げっ! 真っ赤じゃん!」。そうです。手よりも先に、足の裏に発疹が見られていたようで、すでに真っ赤になっていました。その後はもう症状は一気に加速です。真っ赤だった足の裏はとてつもなく痛くなり、歩くことすら困難になりました。道を歩いていて、腰の曲がったおばあさんにすら余裕で抜かれる始末。情けないものの、どうしようもなかったですし、歩いているだけでしんどかったです。

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遠藤 幸紀(えんどう・こうき)
皮膚科医。東京慈恵会医科大学皮膚科講師。乾癬かんせんという皮膚疾患の治療を専門とし、全国の乾癬患者会のサポートを積極的に行っている。雑学やクイズに興味があり、テレビ朝日「Qさま!!」の出場歴も。

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