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膵臓がんで抗がん剤の副作用に苦しむ 免疫療法はどうか?

 すいぞうがんでステージ4と診断され、抗がん剤治療を行っているものです。副作用に苦しんでいます。既にいろいろな箇所に転移しており、完治は見込めないと言われています。元々、糖尿病を患っており、体重が落ちて、おかしいと思っていたら膵臓がんと診断されました。いろいろ調べてみたのですが、治療方法の一つに免疫療法というのがあり、はっきりとはわからないのですが、人それぞれに合う治療が可能で、副作用も少ないと書いてあります。ネット上では効果があるように書かれた、健康保険外の治療もあります。抗がん剤治療よりも苦しまず、よくなりそうなイメージを持ったのですが、実際のところはどうなのでしょうか?(45歳 男性)

膵臓がんに効果のある免疫療法はない

古瀬純司・杏林大学医学部腫瘍内科学教室教授(東京都三鷹市)

 人には本来、自分で病気を治す力として免疫機能が備わっており、がんに対しても効果があるのではと期待されてきました。しかしながら、これまでがん治療として、免疫機能を活性化させる多くの試みがなされてきましたが、有効性はほとんど認められませんでした。膵臓がんにおいても、免疫治療の臨床試験がいくつか行われましたが、失敗に終わっています。これらの結果から、「膵がん診療ガイドライン2016年版」では、切除不能膵がんに対する免疫療法は一般臨床として行わないことが提案されています。

 最近の免疫に関する研究の結果、人には過剰な免疫反応を抑える仕組みが備わっていることがわかり、免疫チェックポイントと呼ばれています。その免疫チェックポイントをブロックする新しい薬剤が開発され、多くのがんで有効性が認められてきています。
 しかし、膵臓がんでは免疫を担当するリンパ球がもともと少ないこと、免疫チェックポイントにかかわる分子の発現が少ないことから、免疫チェックポイント阻害薬もこれまでのところ効果は認められていません。現在も、膵臓がんで何とか免疫チェックポイント阻害薬の効果を引き出す研究が行われていますが、今のところ決め手がない状況です。

 ネットに出ている免疫療法は、基本的に、科学的に検証されている治療ではなく、残念ながら、少なくとも膵臓がんに効果のある免疫療法はないと考えられます。
 以上から、膵臓がんには免疫療法は勧められないと考えられます。
 しかし、2013年以降、膵臓がんに効果のある抗がん剤治療も出てきていますので、担当医とよくご相談いただいて、最も適切な治療を行っていただくのがよいと思います。(日本専門医機構協力)

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