宋美玄のわーままクリニック
医療・健康・介護のコラム
みなさん、家事が丁寧すぎませんか?…「ワーママな毎日」が、なぜしんどいのかを考えてみた
こんにちは、宋美玄です。私は小2の娘と幼稚園年少の息子という2人の子供がいる産婦人科医であり、平日はフルタイムで仕事をしています。家庭では、子育てをメインで担っているため、時間の管理を自分で行えるよう、一昨年、クリニックを開院しました。
週末は「仕事の方が絶対に楽だ」と確信
平日の私の一日は、こうです。
朝起きて、子供たちに何かを食べさせ、支度をさせます。自分は最低限の身繕いをして家を出て、息子を幼稚園バスに乗せた後にダッシュで出勤、すぐに診療開始です。
昼休みは大抵、打ち合わせか取材が入り、午後の診療を終えると、またダッシュでお迎えに。帰宅後は、ミールキットなどを駆使して夕飯の支度をします。
子供たちの気分や好き嫌いなどにより、ほぼ毎日発生するフードロスにストレスを感じながら、宿題をさせたり、遊びに付き合ったり、絵本を読んだりします。夫がいるときは、子供たちはスムーズにお風呂に入りますが、私しかいない日は、ダラダラしてなかなか入ろうとせず、そこでまたひと悶着。子供が寝た後、少しでも自分の時間を取りたいと思いながら、寝床で蹴り合ってなかなか寝ない子供たちより先に寝てしまうことも多いです。
週末は、子供たちとべったり一緒のため、家で過ごしても、出かけても疲れが溜まります。「仕事の方が絶対に楽だ」と確信し、月曜日の朝に2人を送り出してから、「やっと両手が空いた」とばかりにカフェラテを買って出勤。また1週間が始まります。
「家事だけ」「育児だけ」に集中できる時間がない
「ワーママ(ワーキングマザー)は仕事と育児を両立しないといけないので大変」と言われますが、お盆休みの6連休に子供たちの際限ない要求を聞き続けて体調を崩しかけた私からすると、専業主婦の方が大変ではないか?と想像することもあります。しかし、昼間に自宅を完全に空けていると、洗濯や調理、後片付けなどの家事は、朝夕の時間にやらないといけません。
それだけでなく、子供が寝てくれている時間以外は、その相手をしながら家事をしなくてはいけません。わが家の場合、3歳児は「今すぐにこの本を読んで」「飲むヨーグルトを飲みたい」などと、満たされるまで要求し続けるし、7歳児は、目を離すと宿題の手が止まっています。寝かせなければいけない時間が迫ってくると、家事は何も片付いていないのに時間だけが過ぎていく効率の悪さにイライラ……。
「家事だけ、育児だけに集中できる時間が取れない」。それが、毎日フル稼働しているにもかかわらず、ワーママが充実感を得にくい原因ではないかと思います。
1日が24時間というのは変わらないので、時間の使い方を調整するしかありません。居住地と職場、保育施設を地理的に近くしたり、在宅勤務などのリモートワークに移行したりするのも手段だと思います。一方、時短勤務やパートタイム勤務で家事・育児の時間を捻出するワーママも多いと思いますが、これだと家事・育児がママの役割として固定してしまいます。しかも、自分の収入が減るので、家庭内での地位が相対的に下がりかねず、モヤモヤする人も多いようで、切り札とはいかないようです。
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真面目な人の習性として、なんでも出来すぎる方が異常なのに、時に求められていないことまでハイレベルにこなそうとして自滅することは誰しもあります。 ...
真面目な人の習性として、なんでも出来すぎる方が異常なのに、時に求められていないことまでハイレベルにこなそうとして自滅することは誰しもあります。
あれもこれもちゃんとしていることがデフォルトになるとしんどいです。
かといって、仕事と勉強は生命線ですし、過度の手抜きも性に合わないのであれば、仕組み作りや心構えの変更からが大事になります。
今年の夏の大会=西医体へ向かう練習の中で、「君たちが真面目に集中し続けて勉強できたなら、君たちの大半は国公立の医学部に入っていたはずだ。それを考えなさい。」とサッカー部員に声掛けしました。
不運や家族の意向などもありますが、真面目にやるとか集中するという部分において私立医大生の大半は残念ながら劣ります。
一方で、その子たちなりのやり方で、自分たちの土俵に持ち込めば、良い勝負ができます。
その個人なり、そのチームなりのやり方を見つけて納得して、実行して、修正するのがむしろ難しいのかもしれませんけど、仕事や家事育児もそういう部分はありますよね。
(医学生には試合の勝利より育成や思い出が大切なので、この程度のノウハウはむしろ共有してほしいです。)
家事育児が大変なら、僕なら、週2か、週4半日にして、仕事を減らしている気がします。
祖父母などの助けなく、育児に関わるなら、専門医の有無や男女問わず、一時的に臨床や研究のウエイトを減らさざるを得ませんし、勉強や休養も必要です。
いま一般医に求められているトレンドはコンビニ的な医療ですが、AIとの競争に敗れた医師の生活を20年後の一般人や政治家は保証しないでしょう。
さて、AIに負けない診断実務を身につけるべく、今年も勉強会だらけの生活で、JSAWIに来ています。
腹部画像は複雑なので、AIに追いつかれるのも最後でしょうが、子供と画像は無視すると後でしっぺ返しを食いますからね。
匙加減は難しいものです。
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