インタビューズ
コラム
「会議の声が聞き取れない」「電話だと話がわからなくなる」…聞こえるのに理解できない障害「APD」
「声は聞こえているのに、何を言っているのかわからない」「1対1なら問題ないのに、集団になると会話が聞き取れない」――そんな悩みを抱えた人が、あなたの近くにいるかもしれない。仕事や学業で、人知れず困難に直面している「APD(聴覚情報処理障害)」の人たちについて、ミルディス小児科耳鼻科(東京都足立区)の平野浩二院長に聞いた。(聞き手・梅崎正直)
耳鼻科医にも理解されず
――APDの人たちと関わるようになったのは、どのようなきっかけからですか。
以前から、「聞こえが悪い」と訴えて受診するのに、聴力検査をすると異常がない患者さんが、年に1人くらいはいらっしゃったんです。しばらく前に、そうした症状のある人がSNSで発信しているのを見つけ、同様の悩みを持った人がたくさんいるのを知りました。学会で名前を聞いたことがあるくらいだったAPDの人が、実はたくさんいるのだと再認識しました。
このことについて、ブログで書いたところ、患者さんからの反響が集まるようになりました。耳鼻科に行っても「相手にされなかった」「バカにされた」という経験をし、多くの人が苦しんでいました。耳鼻科医ですら知らないこの障害への理解を広げていく必要性を痛感し、1年ほど前にAPDに関するサイトを作り、このほど、著書「聞こえているのに聞き取れないAPDがラクになる本」(あさ出版)を出版したのです。
――クリニックでAPDの人を診察することも多いのですか。
この1年で約200人の患者を診察しました。この障害を診る医療機関が少ないため、問い合わせは全国からあります。北海道や九州から来院した患者さんも診ましたし、アメリカから帰国した際に受診した人もいました。
救急の現場 口頭での指示が聞き取れず
――患者さんは、診察でどのような話をされるのでしょう。
学生の時には、本人も気付いていなくて、いざ就職してから、上司の指示がわからなかったり、会議の時に困ったりすることが多いようです。1対1で会話をするのには問題ないのに、多くの人と話す場面や、騒音がある中では、人が話す内容を聞き取れなくなるのです。
若い救急救命士が受診されました。3年間学校に通い、あこがれていたこの仕事に就いたばかりでした。ところが、走る救急車の中は、ガタガタと走行音がうるさいし、機器の音も激しく鳴り響きます。そのような中で、口頭での指示がバンバン来るわけです。それが聞き取れず、困っているようでした。学生の頃から、APDの特性に気付いていれば、職業選びも違ったものになっていたかもしれませんが、せっかく希望通りの仕事に就けた後ですから、つらいですよね。
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