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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

コラム

八つの財布で妄想対策 「認知症ライフ」を楽しく…若年性認知症の丹野智文さんに聞く(下)

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つい引き込まれて「介護相談」

八つの財布で妄想対策 「認知症ライフ」を楽しく…若年性認知症の丹野智文さんに聞く(下)

漫画・日野あかね

 若年性アルツハイマー型認知症と診断された丹野智文さんと、認知症の父さんを介護する私の対談も、いよいよ最終回です。当事者と家族が日々を楽しく暮らすための工夫について色々と教えてもらううち、丹野さんの優しい口調と明るい笑顔につい引き込まれて、気が付けば我が家の悩みを語っていました。いきなり始まった岡崎家の介護相談、丹野さんの回答やいかに――。

常識にとらわれず

  岡崎  こうしてお話ししていると、丹野さんが認知症だということを忘れてしまいそうになります。認知症の人は、新しい出来事を覚えておくのが難しいといわれますが、丹野さんは最近のこともはっきりと記憶しているので驚きます。

  丹野  けっこう覚えている場合もあるのですが、まったく忘れてしまっていることも多いですよ。会社では、トイレから戻ってくるとそれまで何をやっていたか思い出せなくて、よく「いま俺、何やってたっけ?」と、隣の席の後輩に聞いていました。

  岡崎  講演などの活動のスケジュールは、どうやって管理しているんですか?

  丹野  先の予定はすべて手帳に書き込んでいます。当日になったら、その予定に合わせて行動するためにスマホのアラームを細かくセットしておくんです。

 スマホのアラームって、音だけじゃなくて文字も出せるんですよ。時間になると音楽が流れるので、画面を見れば「もう起きなくちゃ」とか「そろそろ出発しないと」とか、その時に何をすればいいかが分かるようにしておくんです。

  岡崎  スマホのアラームにそんな機能があったとは!

  丹野  私も、他の認知症の人に教えてもらったんです。当事者ならではの生活の知恵が色々あって、お互いに情報交換してるんですよ。

 家族向けのアイデアもあります。私の知人は、認知症のお母さんがしょっちゅう財布のしまい場所を忘れて「なくなった」と言うので、安い財布を8個買ってきたんだそうです。1000円ずつ入れておいて、そのうちの一つをお母さんにプレゼントすると、喜んで使ってくれる。「財布がない」と言い出したら、すかさず「ほら、あったよ」って別の財布を出せば、お母さんは安心するでしょ? なくした財布はそのうちどこかから出てくるので、回収してまた使う。それを繰り返すんです。

 一つの財布にこだわっていたら、なくなるたびに家中を探し回らなくちゃなりません。認知症の症状の中でも、特に「もの取られ妄想」は周りが大変だといわれるけど、工夫すれば、大した問題ではなくなるんです。常識にとらわれず、楽しみながらいろいろやってみればいいと思うんですよ。

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認知症介護あるある~岡崎家の場合~

岡崎杏里(おかざき・あんり)
 ライター、エッセイスト
 1975年生まれ。23歳で始まった認知症の父親の介護と、卵巣がんを患った母親の看病の日々をつづったエッセー&コミック『笑う介護。』(漫画・松本ぷりっつ、成美堂出版)や『みんなの認知症』(同)などの著書がある。2011年に結婚、13年に長男を出産。介護と育児の「ダブルケア」の毎日を送りながら、雑誌などで介護に関する記事の執筆を行う。岡崎家で日夜、生まれる面白エピソードを紹介するブログ「続・『笑う介護。』」も人気。

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日野あかね(ひの・あかね)
 漫画家
 北海道在住。2005年にステージ4の悪性リンパ腫と宣告された夫が、治療を受けて生還するまでを描いたコミックエッセー『のほほん亭主、がんになる。』(ぶんか社)を12年に出版。16年には、自宅で介護していた認知症の義母をみとった。現在は、レディースコミック『ほんとうに泣ける話』『家庭サスペンス』などでグルメ漫画を連載。看護師の資格を持ち、執筆の傍ら、グループホームで介護スタッフとして勤務している。

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