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病気のサイン(3)細菌性髄膜炎 頭の張りや発熱
病気のサインでは、兵庫県立こども病院救急総合診療科部長の上村克徳さん(52)に聞きます。(聞き手・藤沢一紀)
見逃してはいけない子供の重い病気の一つに、細菌性髄膜炎があります。
生後2か月の男児が発熱し、ぐったりして母乳を飲まなくなり、救急外来に来られました。頭のてっぺん付近が盛り上がり、張っています。顔色が悪く、ぼーっとした表情で、手足の動きも弱い。担当医が脳脊髄液を採取して検査すると、ヒブ(インフルエンザ菌b型)が検出され、細菌性髄膜炎と診断しました。早急に抗菌薬を投与して治療を始めた結果、約2週間後に退院できましたが、後遺症として軽度の聴覚障害が残りました。
細菌性髄膜炎は、ヒブや肺炎球菌などが脳や脊髄に感染して炎症が起きる病気です。死亡率が高く、適切な治療をしても20~30%の割合で、聴覚障害やてんかん発作などの後遺症が出ます。乳児期にかかり、成長するにつれて精神発達の遅れが出る場合もあります。
サインの一つが、頭の張り。1歳頃までの子供には頭頂部の骨に「大泉門」と呼ぶ隙間があります。成長すると閉じますが、それまでは頭の中で異常があると張ってくることが多いのです。
大泉門が閉じた後の子供では、発熱や 嘔吐 、意識障害などのほか、首筋を痛がる、頭を動かすと痛がる、といった症状が重要なサイン。確定診断には髄液検査で感染の有無を確かめる必要があります。
原因となるヒブと13種類の型の肺炎球菌に対応するワクチンが2013年に定期接種となってから、患者数は激減しました。完全に予防することはできませんが、感染する確率は大幅に下がります。小児科医と相談して適切な接種を心掛けてください。子供を守る第一歩です。
【略歴】
上村克徳(かみむら・かつのり)
小児科医。愛媛大卒。国立成育医療研究センターなどを経て、2017年から現職。編著書に「HAPPY!こどものみかた 2版」など。
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