本田秀夫「子どものココロ」
医療・健康・介護のコラム
カンシャク、イライラ、大人に暴言…「反抗挑発症」「素行症」の子どもにどう向き合うか?
小学3年生のMくんは、毎日のようにカンシャクを起こします。特に家庭では日ごろから口答えが多く、ゲームをやっているとき、母親が「ごはんだよ」と声をかけるだけで激怒し、「死ね」と叫びながら物を投げつけるなど、 些細 なことから問題が勃発します。学校では、普段は穏やかに過ごすことが多いのですが、クラスメートにからかわれたりすると、突然怒り出し、相手を蹴ったり殴ったりすることがあります。止めに入った先生に対しても罵声を浴びせます。
中学2年生のNくんは、中学に入学してしばらくした頃から、授業中に教室から抜け出すようになりました。先生が注意すると、「うるせえ!」と反抗的な態度をとります。夜遅くまで数人の仲間と街を 徘徊 し、コンビニで万引きを繰り返した末に、つかまると店員に暴言を吐きます。ある日、バイクを盗んで無免許運転しているところを警察に補導されました。
度を越えた反抗的態度
思春期前後に、親をはじめとする大人からの指示に反抗したくなることは、多くの人が経験していると思います。ところが、このような通常の反抗とは異なり、Mくんのように度を越えた反抗的態度を示す子どもがときどき存在します。このような子どもは、「反抗挑発症(反抗挑戦性障害)」と診断されることがあります。「カンシャクを起こしたり、イライラしたりするなど怒りっぽい」「大人への口答えや挑発的な言動が目立つ」「トラブルを何でも人のせいにする」「意地悪で執念深い」……などの特徴がいくつも重なってみられ、それが半年以上持続している場合、反抗挑発症と診断されます。
Nくんのように、反抗や挑発的態度だけでなく、万引き、恐喝などの反社会的行動や、夜遊びなど年齢相応の社会的規範からの逸脱が目立ってくる場合、「素行症(素行障害)」と診断されます。一般的な言葉である「非行」と重なる部分が多いのですが、「脅迫、威嚇、暴力、強奪、性行為の強要など他者への強い攻撃性」「放火、他者の物を壊す」「うそ」「窃盗」「夜遅くの外出、無断外泊、学校の無断欠席などの重大な規則違反」などが複数にわたってみられる状態が1年以上持続すると、素行症と診断されます。
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自分も権謀術数のメッカ、大学病院というハコモノで十年単位の勤務はできなかったので偉そうに言えませんが、様々なものとの相似と相違を考えることで人間の異常行動の問題は浮き彫りになります。
小学3年生なら盗んだバイクで走りだしませんが、中学3年生や高校3年生なら、反抗期からの暴走という絵にかいたような話です。
それが自立に向かう過程であるとみなされた時、社会の一部からは容認され、社会復帰の手助けが表に裏に発生します。
なぜなら、長い人生で光の道だけを歩いている人間はそんなに多くないし、暴走してしまう人が増えるとその地域の治安が悪化して市町村ごと沈んでいくからです。
極限状態でもないのに他人のものを取ってはいけないのはまだわかるとしても、釣りはいいのに、特定水域の漁業が独占されて一般人が排斥される理由なんかは大人にとっても難解です。
一般市民の理解としては、国家や大企業と法律を介してぶつかるには大きな問題だからという答えになります。
だから、暴力、嘘という行為の合理性もよく考えないといけないですね。
建国後日が浅い国家が、嘘や比較的小さな暴力を駆使しながら、巨大国家群やそのシステムに立ち向かっているのも相似です。
もしも、中長期的な安定を目指すのであれば、強い側も叩き潰すか、協調するか、頭をひねらないといけません。
一方で、子供たちも、強者の嘘と真実をより分けながら強かに生きざるを得ない事実と向かい合わざるを得ません。
子供の「死ね」という言葉には殺傷能力はありません。
しかし、何故それを提示しているのか、よく考える必要があるでしょう。
大人に都合の良い、矯正、更生、さもなくば死(様々な形での死)、という社会のリアルではありますが、世の中で一番弱くて我慢のない彼ら彼女らの言葉はより多くの多数の苦しみや社会の歪みによる心の歪みのアンテナとも言えるかもしれません。
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