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親の精神障害 悩み共有…自助グループ 福岡で発足準備

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 精神障害者の親を持つ子供同士で悩みを語り、心の傷を癒やすことを目的とした自助グループの発足準備が福岡市で進んでいる。親から十分な養育を受けられず、大人になっても生きづらさを抱える子供は多い。東京や大阪では自助グループが学習会を開くなど支援が進んでおり、関係者は「九州でも孤立しがちな子供を救いたい」と話す。

「打ち明けて 心軽く」

親の精神障害 悩み共有…自助グループ 福岡で発足準備

 「誰にも話せないのがとてもつらかった」。7月14日、福岡市博多区で行われたセミナーで、精神障害者の親を持つ子供でつくる自助グループ「こどもぴあ」(東京)副代表の小林鮎奈さん(28)は、約40人を前に打ち明けた。セミナーは福岡でのグループ発足への理解を促す目的で開いた。

 小学2年の頃、母が統合失調症や双極性障害と診断された。母が暴れる時は父が体を押さえ、小林さんは息をひそめて過ごした。母は小林さんの友達の悪口をつぶやくようになり、調子が悪いと、家事や育児もできなくなった。周囲に「ゴミ屋敷」と言われ、「友達の親と比べて『なぜ』と思い、悲しかった」。

 誰にも相談できず、心を閉ざしたが、高校時代に母の病気を知り、症状を理解。その後、看護師になって母と向き合うようになると症状は改善したという。小林さんは「心の病気への偏見は根強い。似た境遇の者同士でつながる場が大事だ」と訴えた。

 セミナーに参加した福岡県内の30歳代女性は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)でヒステリーを起こす母親を持ち、幼い頃から料理や洗濯を強いられてきた。この日は当事者同士で話す機会も設けられた。女性は「長い間、『周囲に話してはいけない』と思っていた。打ち明けたことで心が軽くなった」と語った。

 昨年1月に東京で発足した「こどもぴあ」は、子供が体験を語り合う学習会を定期的に開いている。幼少期や高校時代など年代ごとに、どんな体験をし、その時に親の病気をどう受け止めたのかなど過去を見つめる。似た境遇を持つ人同士でつながり、置かれた状況を専門的に学ぶことで、心の癒やしにつなげるという。

 大阪市や札幌市でも、自助グループが同様の学習会を行っている。福岡では、今回のセミナーの参加者らが中心になり、自助グループ発足を視野に近く定期的な学習会を始める方針。現在、運営メンバーの人選などを進めている。

 学習会のプログラム作りに携わるなど支援に取り組む埼玉県立大の横山恵子教授(精神看護学)は「誰にも相談できず、孤立していた子供は、大人になっても周りを頼るのが苦手だ。各地に支援の輪を広げ、積極的に手を差し伸べる必要がある」と語る。

精神障害者の親を持つ子供の主な悩み

(横山教授への取材による)

▽自身への養育不十分(ネグレクトなど)

▽家族のだんらんが少ない

▽子ども自身も精神疾患のリスクが高い

▽大人になっても生きづらさが続く

▽貧困、孤立

 精神障害者の家族でつくる「福岡こどもとパートナーの会」(福岡市)は2017年から、家族同士が情報交換し、悩みや不安を話す交流会を開いている。3か月に1度のペースで「配偶者」「子ども」など立場ごとに行っている。今後、こどもぴあと連携する予定で、問い合わせは、同会のメール(fukuoka_childs_partner@yahoo.co.jp)へ。

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