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「教えて!ドクター」の健康子育て塾

妊娠・育児・性の悩み

生後1か月の心配事 「湿疹」が最多…皮膚から異物侵入 食物アレルギーにつながる可能性も?

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 病院で赤ちゃんが生まれました。さあ、小児科医の出番です。医療機関にもよりますが、小児科医は通常、生後1日目と退院前に赤ちゃんを診察します。

 退院前、お母さんの前でお子さんの診察をひと通り行った後に、お母さんに向かって「何か心配なことはありますか」と尋ねます。実はこのとき、「特にないです」と答えるお母さんは少なくありません。出産経験のあるお母さんばかりではありません。初めてお子さんを出産した場合もそうなのです。

生後1か月の心配事 「湿疹」が最多…皮膚から異物侵入 食物アレルギーにつながる可能性も?

イラスト:江村康子

「何が心配なのか分からない」

 医師になりたての頃は、「そうか、特にないのか。よかった、よかった……」と、単純に考えていました。しかし、実はそうではありませんでした。

 「特にないです」という答えは、多くの場合、「何が心配なのか今は分からない(想像がつかない)」という意味だったのです。子育てはやってみなければ分からないことだらけです。ある程度、備えていても、いまいちピンと来ないのは当然です。

 退院後、家での子育てがスタートします。途端に噴出する心配事の数々。子どもの何げない様子に、喜んだり不安になったり。生活のペースは、完全に子ども中心となります。赤ちゃんが1日を24時間と捉えるまでには、数か月かかると言われており、まさに昼も夜もない生活が始まるのです。

 お父さんもお母さんもヘトヘトになり、生後1か月の健診にたどり着く頃には、不安や疑問をたくさん抱えます。「体重はちゃんと増えているのかな」「顔に湿疹ができたけど、大丈夫かな」「鼻が詰まっているけど、苦しくないのかな」等々。育児不安が最も強くなるのは、分娩ぶんべん施設を退院してからの1か月間とも言われています。そうした不安の受け皿になるのが1か月健診です。

37%が「湿疹」と回答

 この1か月健診で、小児科医がどのような質問を多く受け、何を考えているのか,少しご紹介したいと思います。

 生後1か月の子の保護者が気になることで、多いのは何でしょうか? 2015年8月から16年の2月までに、私が勤務する佐久医療センターで1か月健診を受けた342人の保護者に、「不安なこと/気がかりなこと」を問診票に自由記載(複数回答)してもらいました。それをまとめたグラフがこちらです。

 ご覧の通り、「湿疹」が37%で、最も多いという結果になりました。新生児の時期には、一時的にアンドロゲンというホルモンの値が高くなり、思春期と同様にニキビができやすくなります。これを新生児ざ (そう) といい、顔や胸、背中に広がることがあります。ニキビなので、赤ちゃん用の石けんを泡状にして洗顔することが大事です。それだけで改善することもあります。ただ、アトピー性皮膚炎の前段階の状態と区別が難しいこともあり、洗顔などで良くならない場合は、ステロイド 軟膏(なんこう) を使って治療していきます。

皮膚のバリア機能が壊れ

 最近、新生児期から乳児期の早期に湿疹などがあると、そこから食べ物が体の中に入り、食物アレルギーの発症につながるのでは、と言われるようになりました。

 通常の皮膚は、外界の異物を体の中に通さないよう、しっかり防御しています。そうした皮膚のバリア機能が、湿疹ができることで低下し、食べ物が体内に入りやすくなるのです。湿疹で壊れた皮膚から食べ物が入ると、体内で異物と判断される可能性があります。そして、その後、同じものを口から食べたときにアレルギー症状を起こす可能性が考えられています。

お風呂上がりに保湿を

 湿疹の管理で大切なのがスキンケアです。お風呂上がりに保湿をしっかり行うことが、アトピー性皮膚炎や湿疹の予防につながります。そんなわけで、1か月健診では、赤ちゃんのスキンケアについて、特にしっかりお伝えするように心がけています。こうしたお話を家族で共有するためにも、健診の診察室には、できれば来院されたご家族みんなで入っていただけるといいなと思っています。

 他にもよくある質問について、一つ一つお話ししたいのですが、長くなりますので、次回以降に譲ります。以前、「1ヶ月頃までによくある質問」というフライヤーを作成しました。こちらも参考にしていただければと思います(夜泣きのフライヤーとセットになっています)。

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坂本昌彦(さかもと・まさひこ)
 佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
 2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。

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