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「教えて!ドクター」の健康子育て塾

妊娠・育児・性の悩み

生後1か月の心配事 「湿疹」が最多…皮膚から異物侵入 食物アレルギーにつながる可能性も?

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うつ状態に近い保護者も

 さて、1か月健診は、新生児の異常を見つけるためだけに行うものではありません。私たちは、受診するときのお母さん、お父さんの顔つきや疲労感なども観察しています。もし余裕がなさそうで、うつ状態に近いのでは、と判断した場合、保健師や市の子育て支援窓口等につなげるお手伝いをします。

 そこまで深刻でなくても、最初の1か月間は、余裕のない保護者が少なくありません。お母さんは出産直後で体力が十分回復していないし、お父さんや周りの家族も含め、皆が子育てに慣れていません。余裕がなくて当然です。

 だから、決して「自分に子育て能力がないのでは」などと悩む必要はありません。子育ては、家族だけでなく、地域で力を合わせてやっていくものです。私たち地域の小児科医もサポートします。頼ってください。保護者の皆さんが遠慮せずSOSを出せるような環境を整えていきたいと思っています。

予防接種を説明する重要な機会

 もう一つ、1か月健診には大切な役割があります。それは予防接種について説明する機会であることです。病気に対する免疫をつけるためには、多くのワクチンを接種しなくてはいけません。ヒブや肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチンは、生後2か月から定期接種が始まります。ロタウイルスワクチンも任意接種ですが、非常に有効なワクチンです。これらを同時接種することで必要な免疫を早く付け、受診回数を減らし、予防接種のスケジュールもシンプルにできます。

 子育てに余裕がなく、職場復帰なども重なると、予防接種の予約を取り忘れることもあります。ですから、健診時に、私たちは予防接種の確認と説明をするよう心がけています。

母子手帳の便利な工夫

 最後に、健診のときに便利な母子手帳のちょっとした工夫についてお伝えします。

 まず、出生時のページや成長曲線のページなどにインデックスを付けることです。保護者も医療者も、素早くページを開くことができてスムーズです。小児科医としては、特に成長曲線と予防接種のページにインデックスが付いていると助かります。世の中の母子手帳全てが、最初からインデックス付きになればいいのに、と密かに思っています。

 次に、これは個人的な感想ですが、母子手帳の表紙の名前の横に「第1子」「第2子」などの記載があると、「子育て経験の有無」が瞬時に分かり、保護者に話す内容を臨機応変に変えられるので、私はちょっとうれしいです。

 「1か月健診で何か指摘されるのでは?」とか、「自分の子育てを医師に評価されるのでは?」という不安を抱く保護者が多いという話を聞いたことがあります。そうした不安が、健診が終わる頃には少しでも軽くなるよう、お手伝いができればと思っています。(坂本昌彦 小児科医)

参考文献:
  • 特集「退院から生後1か月までの保護者の不安に答える」.小児科診療81(3),2018

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坂本昌彦(さかもと・まさひこ)
 佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
 2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。

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