大人の健康を考える「大人び」
医療・健康・介護のコラム
不眠症(6)深酒や喫煙で悪化の恐れ
このシリーズでは、日本睡眠学会認定医で、上島医院(大阪府大阪狭山市)院長の渥美正彦さんに聞きます。(聞き手・古川恭一)
むずむず脚症候群の原因が体内の鉄欠乏だとわかれば、鉄剤を投与して治療しますが、効果が出るのに数週間から数か月かかることもあります。そんな場合は、ドーパミンに似た働きをする薬(ドーパミン類似薬)や抗てんかん薬の一種を併用します。
ドーパミン類似薬は、この病気の直接原因となるドーパミン不足を補う薬で、「人生が変わった」というほど劇的に効く患者さんもいます。長期投与すると効き目が弱くなるため、あまり増量しないよう調節しながら服用します。抗てんかん薬は、痛みやしびれなどの治療にも用いられ、この薬を先に使う専門医もいます。
生活習慣の改善も効果があります。深酒や喫煙、夜のコーヒーなどは症状を悪化させる恐れがあるので、こうした習慣を見直し、軽い運動やシャワー、マッサージなどを試してみるといいでしょう。
夜間、手足が跳ね上がる「周期性四肢運動障害」は、むずむず脚症候群と併発することが多く、似た症状が表れるのが特徴です。
治療法もほぼ同じですが、違うのはほとんどが睡眠中に起こること。足首が反ったり、布団を蹴飛ばしたりするのですが、本人が気づかない場合もあります。
不眠や眠気の原因になれば投薬治療が必要ですが、そうでなければ治療の必要はありません。睡眠中に手足が跳ね上がる姿を妻に指摘され、「悪い病気かも」と心配になって来院した50代男性は、この症状と診断されました。不眠ではなく、他の病気もなかったため、安心して帰られました。
【略歴】
渥美 正彦(あつみ まさひこ)
大阪市立大学医学部卒業。大阪警察病院、国立病院機構やまと精神医療センター、近畿大学医学部付属病院神経内科などを経て、2004年6月から上島医院。05年に同医院併設南大阪睡眠医療センター長。10年から同医院院長。
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