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思春期の子どもを持つあなたに

コラム

第8部 ADHD(注意欠陥・多動性障害)(上) 父親を「君づけ」で呼ぶ小6男子。2世帯同居から始まった「虎の威を借る」わがままぶり

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 注意欠如・多動性障害(Attention-deficit hyperactivity disorder、ADHD)は、日頃の行動に不注意、多動性、衝動性の三つの症状が多くみられることが特徴。たとえば「忘れ物が多い」「落ち着きがない」「我慢ができない」などによって表れる神経発達障害である。原因ははっきりしていない部分も多いが、遺伝的な要因が大きく関与していると考えられている。

 A君は小学6年生です。5年生の頃から、授業中に友達にちょっかいを出して邪魔をしたり、友達の図工の作品を落として壊したり、宿題を忘れたりすることが多くなっていきました。校内ランニングや合唱練習など、自分がやりたくないことがある日は、わざと遅刻したり、サボったりもするようになりました。

 先生に注意されると、口答えをしたり、 茶化(ちゃか) して逃げたりしていました。

自分勝手な行動、それに周囲に迷惑をかけても謝らずに威張っていることなどから、クラスの中でも次第に孤立していきました。

 ある日、副校長先生に強く 叱責(しっせき) されたことをきっかけに、「学校はつまらないから、もう行かない」と家でゲームをしているようになりました。

 「忘れ物が多く、落ち着きもない。ADHDではないか。専門医を受診するように」と養護教諭から言われ、私のクリニックに両親が来院しました。

 A君の姿はありません。両親は「本人は、絶対に受診はしない」と断言しました。

 それには、こんな背景がありました。

母親のウソで「もう二度と病院には行かない」

 養護の先生から、ADHDと指摘されたことにショックを受けた母親は、すぐに母方の祖父に相談しました。そして、祖父が選んだ医療機関にA君を連れていったそうです。

このように、母は困ったことがあると、夫ではなく自分の父親を頼りにすることが多かったようですが、問題はそのやり方でした。

 母親はA君に「自分が病院へ行くので、付き添ってほしい」とウソをついたのです。

 それは本人に余計な心配をさせず、速やかに受診させるためという、祖父のアドバイスでした。

 ところが、母親の付き添いのつもりで病院に行ったA君自身が、「まずADHDの検査を受けて、その結果次第で薬を飲むか、カウンセリングを受けるか」と言われました。

  (だま) されたことを知り、「もう二度と病院には行かない」と宣言したそうです。

 A君が驚き、怒り、病院に対する反発心を覚えたのも無理はないかもしれません。

 そこで、私は両親から詳しい話を聞いていくことにしました。

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shisyunki-prof200

せきや・ひでこ
精神科医、子どものこころ専門医。法政大学現代福祉学部教授。初台クリニック(東京・渋谷区)医師。前関東中央病院精神科部長。

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