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医療・健康・介護のコラム

[フリーアナウンサー 大橋未歩さん](下)「お茶しよう」と誘われるのが怖かった私…「人と話すことを」とアナの道に

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「未歩ちゃんの話、つまらないんだもん」がトラウマに

[フリーアナウンサー 大橋未歩さん](下)「お茶しよう」と誘われるのが怖かった私…「人と話すことを」とアナの道に

――もともと人前で話すのは得意でしたか?

 体を動かすのは好きでしたが、しゃべるのは本当に得意ではありませんでした。今でもトラウマになっているのは、小学生のとき、友達に「私の話をなんで聞いてくれないの?」って聞いたら、「未歩ちゃんの話、つまらないんだもん」って言われたことで、すごくショックでした。小学生って率直に言ってしまうので。

 以来、話の輪に入りにくくなり、友達とのおしゃべりの時間が怖くなりました。それなりににぎやかな性格だったので、副級長になって、学級会の司会とかはしたんですが、そのときは、普段は発言できない子に話をふることに喜びを覚えていました。その場の空気を丸くして、みんなが輪に入れるようにと思ってやっていました。自分がしゃべれないタイプで、その寂しさというか、劣等感はよく理解できるので。

――友達は多そうに見えますが。

 ふりですね。心のなかでは、「おしゃべりしながらお茶しよう」って友達から言われることにおびえていました。「自分とじゃ、楽しんでもらえないんじゃないかな」って。「このままだと人を嫌いになってしまう。話すことを好きにならなきゃ」って思ったことも、アナウンサーを目指した理由です。

 「それでなれるの?」って聞かれますが、試験のハウツーを一所懸命練習すればなれるんですよ。でも、なってから苦労しましたね。毎回緊張するし、今でも緊張すると膝が冷たくなって、本番前に何度もトイレに行くし、早口になってしまうし……。

――ベテランになっても?

 今でもありますね。一緒に番組の司会やっているふかわりょうさんも、オープニングのときは結構緊張しているみたいで、 () み手をしたり、「ううん、ううん」ってせき払いしていて、「これだけ司会がうまい人でも緊張するんだから、悪いことじゃない」って肯定できるようになりました。

「仕事がすぐにできなくて良かった。全く飽きない」

――結果的に仕事選びは間違っていなかった?

 すぐにできなかったからよかったんだと思います。最初から完璧にできたら、飽きちゃっただろうなと思います。言葉って難しいし、間も難しい。フリーになって、今も新しいことに挑戦していると、新しい扉が見えてきて、全く飽きません。経験を積めば、それだけ言葉に厚みも出てくるはずですし。それも、この仕事だからこそですね。

――これからの人生、どんなふうに生きたいですか。

 人の強さって、しなやかさだと思います。脳梗塞になるまでの私は、すごく (ごう)(まん) で、こうじゃなきゃいけないって思い込んだり、努力すれば何でもかなうって思ったりしていました。でも、人の死のように時期を決められないこともあり、ある程度は流されることの大事さも痛感しました。これからの人生、楽しく流されていってもいいかなと思っています。そのしなやかさが、以前の自分にはなかった強さだと思います。

フリーアナウンサー 大橋未歩さん

おおはし・みほ
 1978年、神戸市生まれ。2002年、テレビ東京入社。スポーツ、バラエティー、情報番組を中心に多くのレギュラー番組で活躍。13年1月に脳梗塞を発症し、休職。療養期間を経て同年9月復帰。17年12月、同社を退社。18年3月からフリーで活動開始。同年8月、パラ卓球のアンバサダー就任。現在、「大橋未歩 金曜ブラボー」(ニッポン放送)、「PARA SPORTS NEWS アスリートプライド」(BSスカパー!)、「5時に夢中!」(TOKYO MX)などにレギュラー出演中。

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