ウェルネスとーく
医療・健康・介護のコラム
[フリーアナウンサー 大橋未歩さん](上)34歳で脳梗塞 死と直面した「15分間」が生き方を変え…フリー転身へ
テレビ東京の看板アナウンサーとして、スポーツ、バラエティー、情報など多くの番組で活躍した大橋未歩さん。2017年12月に退社し、フリーになって約1年半。神戸での高校生時代に遭遇した阪神・淡路大震災、13年に襲われた脳梗塞など、自分の人生経験と密接に関わるテーマの番組やイベントに積極的に取り組んでいます。今も新しいことに挑戦し続ける、充実した毎日を語ってくれました。(聞き手・藤田勝、撮影・小倉和徳)
11月の神戸マラソンのゲストランナーに
――11月の神戸マラソンを「震災25年特別ゲスト」として走るそうですね。すぐ引き受けようと思いましたか。
はい、やりたいと思いました。人生で一度はやってみたいことの中にフルマラソンがあったし、出身地・神戸のチャリティーマラソンだと聞いたので。私は、早い時期に東京に出て来てしまい、地元に何かかかわっていきたいと思って、ちょうどいいなと思いました。
――40代で初のフルマラソン。大きな挑戦ですね。
そうですね。8月15日で41歳になりましたからね。
――目標タイムは?
リミットは7時間なので、6時間以内で走りたいなとは思っています。学生時代は10キロぐらい楽々走れたんですよ。もう20年も前のことですが(笑)。
――震災復興については、どんな思いで走りますか。
忘れられないのが、震災の日、朝9時ぐらいにマンションの屋上に上がって、いつも見渡している神戸の街を見下ろしたとき、いろんなところから火の手があがっていて、戦時中の写真みたいだなと思いました。長田区のように一度は焼け野原になった場所もあり、神戸が復興したことをかみしめて走ることになると思います。肉体的にはつらいと思いますが、復興した街を目に焼き付けて走りたいです。
――震災から25年。若い世代は直接知らないですね。
そうですよね。伝えていかなきゃなと思います。語り部の役割を担おうと思い、防災の日と震災が発生した1月17日には自分なりにいろいろと発信しています。防災士の資格も取って、先日、住んでいる自治体の防災士フォローアップ研修にも参加しました。震災とは一生、向き合っていこうと思っていて、今度のマラソンもそのひとつです。
昨夏、ヨセミテ国立公園をテント泊で150キロ
――昨年夏はアメリカのヨセミテ国立公園を10日間も歩いたそうですね。
ハイカーの聖地と言われるジョン・ミューア・トレイルを歩きました。標高4000メートルぐらいのところを、テント泊なので15キロぐらいの荷物を背負って、1日18キロぐらい歩きました。200キロ歩く予定でしたが、結局、150キロぐらいしか歩けなかったですね。初日、2日目は高山病で頭が痛くなりました。でも、低いところに下りてくると、スーッと痛みが消えるんですよね。
――事前にトレーニングを?
ふだん山に登ったりしていますけど、本格的な準備はしていなかったので、途中で足が出なくなり、泣きながら登ったりしていました。食料は10日間分持っていったのに、おなかがすいて、思いの外、早く食べてしまい、途中で2日間ほど山を下りました。荷物を軽くしようと乾麺ばかり食べて、夢にまでハンバーガーが出るほどだったので、軽井沢のような避暑地に下りて、生ビールを飲みながら食べたハンバーガーは最高でしたね。普通はやせて帰ってくるそうですが、体重は維持して帰ってきました(笑)。つらかったけど、また行きたいですね。
――アウトドア派なんですね。
そうですね。海と山に隣接したところで生まれ、木登りして育ちました。マンションの裏が登山口で、すぐ山に登れるんです。自然がないと生きていけない感じです。今のマンションの庭には、猫の額ほどの畑があって、野菜を育てています。「そういうタイプには見えない」って言われますが、人混みより山が好きなんです。
――ご主人もアウトドア好き?
夫はアウトドアが趣味というより、もうオタクですね。火おこししたり、釣った魚を指でさばいたりとか。ヨセミテも夫の発案で行きました。
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