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心のアンチエイジング~米寿になって思うこと

コラム

旅行で適度なストレスを楽しもう!

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 旅行は楽しいですね。たった数分のミニ番組「世界の車窓から」(テレビ朝日系)は30数年も続いています。車窓からの風景や車内のお客とのやりとり。停車駅の街の風景。旅情をそそります。旅こそアンチエイジングというのが今日のテーマです。体を動かすこと、食を楽しむこと、ワクワク感、日常のストレスからの解放、人との出会いなどなど、アンチエイジングに役立つ全ての要件が数日間の旅にパックされています。

キャンプは自然と一体化できる

旅行で適度なストレスを楽しもう!

 これまで僕もいろいろな旅を経験しました。まずは学生時代の無銭旅行。あの頃は夏休みに先輩などを訪ねて泊まり歩くのが学生の特権でした。最も印象に残っているのは、キャンプをしながらのアメリカ大陸横断です。フォルクスワーゲンの屋根にテントを積み、子供2人を後ろの席に転がして、2か月かけてニューヨークからサンフランシスコまで、イエローストーンやヨセミテなど主な国立公園を経めぐりました。お金がなかったので、一日もモーテルには泊まらず、食事もすべて自炊で、その頃できたマックで一度だけハンバーガーを食べたのが、唯一の 贅沢(ぜいたく) でした。キャンプ生活の良いところは、自然と一体化できるという感覚です。キャンプは若者のものと思いがちですが、体力に無理のない限り高齢者にもオススメです。

荷物に煩わされないクルーズもおすすめ

 次にオススメなのはクルーズです。数年前、豪華客船「飛鳥Ⅱ」で新年のお伊勢参りを兼ねて、アンチエイジングのレクチャーを船内でということで、初めてクルーズを経験しました。大海原をたゆたう感覚はなんとも言えません。運動やダイエットの実践につながるプログラムを考えたアンチエイジングクルーズなどがあってもいいかと思います。荷物に煩わされずに,いろいろな都市を経めぐること自体楽しく、アンチエイジングを実践することになるでしょう。

土地のものを食べ、レンタカーも利用

 旅行中はなるべく土地のものを食べるようにしています。幸い僕は「和食がなければ」ということはないので、なるべくその土地の人たちが好む料理を食べると、ますますその土地が身近に感じられます。

 僕は運転が好きなので、国内でも国外でも必ずレンタカーで回ります。空港で借りて、空港で返す。荷物の積み下ろしが実に楽です。また、宿も予約せず、気に入った場所で手頃な宿を探して泊まります。実に自由がきく。「でも、右側通行では」と言われるかもしれませんが、左ハンドルの時は右側通行と頭をさっと切り替えることにしています。海外でレンタカーを利用する時は、日本で予約しておいた方が良いですね。その方が安いことが多いし、また、ヨーロッパではオートマが少ないので予約が必要です。

英語の旅行「travel」は「travail」(難儀)が語源

 ところで旅行は英語で「travel」と言いますが、これは難儀を意味する「travail」と語源を一にしていると言われます。昔、旅行は危険を伴う、苦労の多いものだったからでしょう。今でも旅行にストレスはつきものです。楽しい反面、精神的、肉体的な負担は否めません。でも、それも旅行の御利益の一つと言えます。

 人間が生きていくには適度なストレスが必要です。極端な例としては宇宙飛行士が無重力状態、つまり重力のストレスがない状態に置かれると、筋肉の衰え、骨粗しょう症になるなど影響が及ぶと言います。廃用症候群と言われる状態です。

良いストレスと悪いストレスがある

 そこで我々は適度な好ましいストレスを「eustress(ユーストレス)」(良いストレス)、過度な病気につながるストレスを「distress(ディストレス)」(悪いストレス)と呼ぶようにしています。人によって、また置かれた状態によってこの線引きは固定したものではありませんが。従って高齢者の旅はあまり無理をせず、かと言ってすべてを人頼みにせず、自分に合った適度なストレスを旨とすべきでしょう。

 この年になって僕が憧れるのは、何も予定を組まず、予約もせず、ただふらっと飛び出して毎日、毎日好みのままに日本中を経めぐる旅。そして数か月したら家に戻る。あるいはそのままあの世へ旅立つ。旅に病んで夢は枯野をかけ (めぐ) る、という芭蕉の心境でしょうか。(塩谷信幸 アンチエイジングネットワーク理事長)

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shioya_prof

塩谷信幸(しおや・のぶゆき)

1931年生まれ。東京大学医学部卒業。56年、フルブライト留学生として渡米、オルバニー大学で外科および形成外科の専門医資格を取得。64年に帰国後、東京大学形成外科、横浜市立大学形成外科講師を経て、73年より北里大学形成外科教授。96年より同大学名誉教授。日本形成外科学会名誉会員、日本美容外科学会名誉会員。NPOアンチエイジングネットワーク理事長、日本抗加齢医学会顧問、アンチエイジング医師団代表としてアンチエイジングの啓蒙活動を行っている。

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1件 のコメント

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日常の中の旅と非日常と経験の連続性

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

生から死までの人生の一連の流れそのものが旅というような気もしますが、よくよく考えれば、現代生活は毎日が旅ですね。 特に都心部は、歩けば一日以上か...

生から死までの人生の一連の流れそのものが旅というような気もしますが、よくよく考えれば、現代生活は毎日が旅ですね。
特に都心部は、歩けば一日以上かかる距離を往復している学生や社会人も少なくありません。
大阪や東京では、異人さんや外国語上級者と毎日のようにすれ違います。
アメリカ村だのスペイン村だのもあります。

ストレスという言葉はネガティブなイメージもある日本語ですが、新規刺激という表現がぴたりと来るかもしれないですね。
そして、他の刺激によって、日常のありふれた刺激が違って感じられることもあります。
その辺は、合剤による抗菌薬の反応性増強なんかも似ていますね。
そういう経験は、日常生活の気付きを増やします。

国内外の学会では、スーパーや居酒屋を覗くようにしていますし、サッカー実技という共通言語のある学会は優先して参加します。
パスや人間関係は繋がって、カタコトでも多言語を学ぶべきだという自分にストレスをかけることができるからです。
新しい言葉はゼロ歳からスタートですから、まさしく、アンチエイジングです。

電子空間やテレビやラジオの旅もいいですが、生の経験はやはりエピソード記憶として大きいですね。
安いビールやワインでも、異国の地で飲んだ経験が、付随する経験が、様々なものを呼び覚ますことがあります。
石油高騰、一部海外情勢の悪化、ビザの厳格化など壁はありますが、多くの若者に他国の日常風景や普通の人との会話を経験してほしいと思います。
所詮は同じ人間で、政治の上の方は揉めていても、一般市民は冷ややかだったりで、平和や安定した貿易を望んでいるものです。

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