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リングドクター・富家孝の「死を想え」

コラム

がんで死ぬのは幸せか?

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 日本人の2人に1人は生涯で1度はがんになり、3人に1人はがんで死ぬという時代になりました。そこで、近年、言われているのが、「がんで死ぬのは幸せ。自分の余命がわかるから」ということです。

 たしかに、自分がこれからどれくらい生きられるのかを知って、死を迎えるにあたっての準備期間を持てるのは、幸せかもしれません。その間に、人生の整理をし、身近な人や家族に別れを告げることができるからです。

余命を告げる医者、告げない医者

がんで死ぬのは幸せか?

 しかし、「余命」というのは、かなり複雑な問題で、簡単に判断できるものではない上、医者と患者のコミュニケーションがうまくかないと、無用なトラブルの原因にもなります。そのため、余命宣告をしない医者もいます。逆に、治療のプロセスを理解してもらうため、必ず伝えている医者もいます。末期がんで終末期に入った患者さんに関しては、ある程度、正確な判断ができますが、そうでない場合は、あくまで推定でしか言えません。

 しかも、医者はわざと短めに言うものです。そうしないと、もし、それより前に亡くなられた場合、遺族に恨まれることが多いからです。

余命は生存期間の中央値

  余命の算出には、決まったルールはありません。一般的には、「生存の中央値」を取るということで、宣告が行われています。たとえば、「余命宣告1年」というのは、「生存期間の中央値」が1年ということです。

 普通、余命宣告となるのは、もはや治療しても持ちそうもない、治療を行うのが困難と判断した時です。そうなったとき、その後どれくらいの期間生存できるかを想定するわけです。

 生存期間の中央値というのは、その病気の患者集団において、「50%の患者が亡くなるまで」の期間のことです。つまり、同じ進行状態の胃がん患者が100人いた場合、50人目が亡くなった時点が胃がんの「生存期間中央値=患者の余命」となります。

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富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。

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1件 のコメント

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癌にとらわれることで見失ってしまうもの

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

以前の投稿内用ともかぶりますが、癌患者は癌だけで構成されるわけではなく、癌という病変を持った患者、病変を持った一般人という考え方が大事です。 し...

以前の投稿内用ともかぶりますが、癌患者は癌だけで構成されるわけではなく、癌という病変を持った患者、病変を持った一般人という考え方が大事です。
しかし、癌という言葉の重み、イメージの重みがその人や家族の思考から客観性を奪います。
逆に、癌の患者やフィルムを見慣れて落ち着いている人の方が、確率論で言えば異常者です。

ピンピンコロリが理想とは言いますが、おそらく、太平洋戦争で亡くなった兵士の大半は本音では死にたくないと思っていたはずですし、ましてや、餓死や戦闘不能による自殺強要なんか望まなかったと思います。

言い換えれば、平和とか飽食とか、前提条件によって人の意識は変わるということで、がんの発見や告知のその中の要素に過ぎないということです。

データはデータに過ぎず、あくまで確率論の上、不完全なものに過ぎません。
その不完全性との向き合い方はプロでも厄介ですが、患者や家族といった一般人の多くにはもっとしんどいでしょう。
だからこそ、癌で死ぬことが幸福か不幸かの判断が一概に言えないになるのではないかと思います。

いま国際情勢も揺れていますが、戦いなんかしない方が良いですし、どうせ戦うなら勝たなければ意味がない、というのは一つの真理だと思います。

これをすれば、幸福とか、人生に勝てるというのはないでしょうが、何かしら、幸福のフラグメントの見つけ方とかそういうのは大事なのかもしれませんね。
多分、多くの人にとっての分岐点は、癌そのものにはありません。

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