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和紙照明 看護に光 「気持ち楽に」家族ら好評

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和紙照明 看護に光 「気持ち楽に」家族ら好評

橋田裕司さん(右)が監修した照明のともる部屋で、高橋健太郎さん(中央)を介護する和恵さん(大阪府羽曳野市で)=野本裕人撮影

 明かりで心を癒やす――。大阪の照明デザイナーが提唱する「ライトテラピー」という考えが注目を集めている。介護や医療ケアの必要な家や医療機関に和紙を使った柔らかな照明を置いたところ、「気持ちが楽になる」などと好評で、設置の依頼や問い合わせが広がっている。

大阪のデザイナー提唱

  心理面に影響

 「介護をする中で、息がしやすくなったんです。息子もよく眠れるようになったみたい」

 大阪府羽曳野市の自宅で、壁伝いに設置された間接照明や、和紙などでかたどったフクロウやクマの柔らかな明かりに包まれた部屋で高橋和恵さん(58)がほほえんだ。

 自宅では、進行性の難病で約18年間、人工呼吸器をつけた生活を送る長男健太郎さん(28)を介護している。

 元々、リビングには天井の中央に裸電球の明々とした照明があった。ベッドで横になる健太郎さんにはまぶしく、高橋さんが吸引する際は手元に影ができた。

 そんな時、健太郎さんの主治医が大阪の照明デザイナー、橋田裕司さん(66)を高橋さんに紹介。橋田さんの提案で昨年秋、柔らかな明かりを取り入れた。手元の影がなくなり、心理面での変化もあったという。

 「以前はまぶしくて、くつろげず、しんどいような、息が小さい感じでした。でも生活のほとんどを過ごすリビングが、柔らかな明かりに包まれ、ほっとする空間になりました」と高橋さんは振り返る。

 橋田さんは「明かりを一工夫するだけで、介護空間を癒やしの空間に変えることができます」と説明する。

  病院でも

 橋田さんは、照明器具のデザインを手がけるかたわら、1992年から、手作りの照明作りを教える「照明塾」を主宰。活動を通じて、明かりで心理面のストレスを減らし、リラックス効果をもたらす「ライトテラピー」という考えを提唱。2012年には淀川キリスト教病院の「こどもホスピス」(大阪市東淀川区)に和紙で作った約100個の手作り照明を寄贈した。

 車やウサギ、太陽など様々な形をした和紙の明かりは、病院の壁面に取り付けられ、医療スタッフや入院生活を送る子どもや家族らに大好評となった。

 同院の鍋谷まこと副院長は「夜の病院は怖いイメージがあって、寂しくなったり不安になったりしがちだが、和紙の明かりで、子どももご家族もとても心穏やかになっている」と話す。

  「水族館」計画

 こうした活動が口コミで医療や介護の関係者の間に広がり、最近では兵庫県三田市の小児科医院や同県尼崎市の耳鼻咽喉科などから依頼があったほか、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(沖縄県)では、小児集中治療室を魚をかたどった和紙の明かりで照らして「明かりの水族館」にする計画が進行する。

 橋田さんは「介護や医療の現場では、本人や家族も自覚できないような緊張感を抱えている。柔らかな明かりは心理面に直接的な影響があり、大きなリラックス効果があります」と話した。明かりに関する問い合わせなどは、「照明塾」(電話06・6328・9934)へ。

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